棚倉...ホッケーの聖地に 「公式タウン」認定、ここから日本代表を

 
ホッケーの練習に打ち込む棚倉中ホッケー部のメンバー =ルネサンス棚倉

 「ホッケータウン棚倉」を全国に発信―。1995年のふくしま国体をきっかけに長年にわたって競技に親しみ、このほど「公式ホッケータウン」の認定を受けた棚倉町。関係者は認定を機にさらに競技の振興を図り、合宿誘致などを通じた交流人口の拡大や町の知名度向上につなげたい考えだ。

 カッカッカッ、ガコーン―。学校の放課後の時間帯、棚倉町の宿泊施設「ルネサンス棚倉」の多目的広場に、ボールをスティックで打つ音が響き渡る。「ナイスパス」「ナイシュー」と棚倉中ホッケー部の部員らが声を上げる。

 ホッケー部でキーパーを務める吉成柑南(かんな)さん(14)=棚倉中3年=はU―15女子ジュニアユース日本代表に選出され、19日からのオーストラリア遠征に参加する。「試合に勝ち、(自分が活躍することで)福島県や棚倉町の知名度を上げたい」と闘志を燃やす。

 ふくしま国体でホッケー競技の会場となったことを機に、町が学校の授業に取り入れるなどしたため、ホッケーは町民にとってなじみのスポーツになった。

 ルネサンス棚倉にはホッケー場が整備され、同部のほか、県内唯一のホッケースポ少などが日々練習に汗を流している。

 同部で指導に当たる生方聡(さとる)さん(43)は「ホッケーは日本ではマイナーだが、海外では人気のスポーツ。この町から日本代表やメダリストが生まれるかもしれない」と期待する。

 日本ホッケー協会は設立100周年の記念事業として棚倉町や岩手県岩手町、埼玉県飯能市など19自治体を公式タウンに認定した。認定により、ホームページなどで認定ロゴを使用でき、「公式ホッケータウン」を呼称することもできる。認定された自治体同士が情報共有する「ホッケータウンサミット」などの開催も予定されている。

 ルネサンス棚倉には、首都圏の大学生チームが毎年合宿に訪れており、交流人口の拡大につながっている。町は競技を通じた町のPRを強め、さらに地域の活性化につなげていく方針だ。(伊藤大樹)

 各地に「国体の遺産」

 棚倉町のようなふくしま国体のレガシー(遺産)を生かした取り組みはほかにもある。

 ハンドボール競技の会場となった石川町は毎年、「ふくしま国体記念」と銘打った町主催のハンドボール大会を開催。中学生を対象に東日本からチームを集め、競技の振興と選手の育成、強化を図っている。サッカーの競技会場となった鏡石町は今年1月、サッカーの振興を目指し、全国レベルの競技経験を持つ人材を地域おこし協力隊として採用する事業を始めた。