暖房費「節約しなきゃ」 福島で関連グッズ人気、売り上げ1.3倍

 
ストーブの温風をこたつに送る省エネダクトや断熱シートが並ぶ店内=福島市・ダイユーエイト福島西店

 冬が目前に迫る中、県内のホームセンターでは暖房費の節約につながる商品の売り上げが急速に伸びている。物価高に伴う家計の節約志向の高まりが背景にあるとみられる。暖房費をいかに抑えるかは、ハウス栽培の農家など事業者にとっても大きな課題だ。少しでも負担を減らしたいと考える多くの人たちが、知恵を絞りながら寒さへの備えを進めている。

 福島市のダイユーエイト福島西店には、ストーブの温風をこたつに送る「省エネダクト」や、部屋を暖かく保つために窓に貼る断熱シート、隙間テープなどを取りそろえた特設コーナーが設けられている。特設コーナーでは、「節電・節約」「暖房効果アップ」といった文字が目立つ。

 同店によると、こうした節約グッズの売り上げは今月、昨年同期の1.3倍に上っている。先取りして商品を並べていた9月以降、暖かい日が続いたため思うように売れなかったが、一気に冷え込んだ先週末から急激に売れ出したという。同店では頻繁に商品の補充を行い、一部商品は発注数を増やして対応している。

 省エネタイプのファンヒーターや電気ストーブ、湯たんぽ、湯船に張る保温シートなども人気で、客から「電気代がどの程度安くなるか」と問い合わせを受けることも多いという。斎藤由樹店長(36)は「物価高の影響もあり、電気代をこれまで以上に気にする方が増えて節約意識が高まっているように感じる」と語る。

 同店を訪れた福島市の主婦中村ちえ子さん(68)は「急に寒くなったので急いで買いに来た。昨シーズンは電気代が上がって驚いたので、今年は少しでも抑えられれば」と話した。

 ハウス農家も苦心

 伊達市霊山町でイチゴのハウス栽培を手がける「斎藤農園」の斎藤寛泰さん(39)は、ハウス内の夜間の温度を8度以上に保つため、今月から暖房機を稼働させている。「暖房に使う重油の価格は昨年と比べれば同水準だが、2、3年前と比べると1.5倍以上ではないか。このほか、農業用資材も高騰している」と厳しい現状を明かす。

 斎藤さんは今年、県オリジナル品種「ゆうやけベリー」の作付面積を2倍に拡大。年明けに出荷がピークを迎える見通しだ。出荷までの経費を少しでも抑えようと、保温効果を持続させるためハウス内にカーテンを付けたり、苗の下にビニールを取り付けるなど工夫を重ねる。

 「今年の猛暑で苗の根が思うように張らなかった品種もある」と斎藤さん。しっかり利益を出せるかどうか、頭を悩ませる日々が続きそうだ。