復興発信...古里・福島を支える 在外県人会サミットで意見交換

 
内堀知事(前列中央)を表敬訪問し、記念撮影する各国・地域の県人会代表ら

 第4回在外県人会サミットのため本県を訪れている各国の県人会会長らは16日、県庁で意見交換会に参加した。東日本大震災と東京電力福島第1原発事故後、各県人会は地元で本県を紹介するイベントを開催するなどし、遠く離れた場所で復興を支える活動を続けてきた。第1原発で発生する処理水の海洋放出で懸念される風評の払拭と震災の記憶の風化を防ぐため、情報発信の在り方について活発に意見を交わし、これからも各地で支援を続ける決意を新たにした。

 意見交換で、米ホノルル県人会のアイリーン・サダコ・モリワケ副会長は、学生向けに長期間のインターンシップ(就業体験)の機会を設ける必要性を指摘。本県の復興に興味を寄せる若者は現地に多くいるとして、就業体験後の国際的な発信力に期待した。インドの富田康喜会長は、本県を訪問した外国人が感じた魅力を交流サイトで発信し、優れた投稿には旅行費用を補助するといった観光振興策を提案した。

 原発事故後の各県人会の実践例も報告され、タイ・バンコクの石川貴志会長は本県の芋煮を楽しむ催しについて紹介。新型コロナウイルス禍で参加者が激減した際、東北6県の郷土料理を食べ比べる内容に変更し、イベントの規模拡大につなげた事例を説明した。

 県によると、震災後は15カ国・地域に計16の県人会が新たに設立されるなど、各地で本県の復興を支援する動きが活発化したという。各県人会は個別に模索してきた取り組みや課題について積極的に共有し、より良い活動に向けて手応えを得た様子だった。

 ワールド県人会の満山喜郎会長(ロンドンしゃくなげ会会長)は「貴重な情報共有ができた。福島には安全な食品や水素エネルギー、復興への挑戦など世界に負けない素晴らしい魅力があり、帰国後も発信を続けたい」と語った。

 サミットは15日に開幕し本県出身者や子孫、ゆかりの人でつくる20カ国・地域の計28県人会が参加。コロナ禍を経て6年ぶりの開催となり、浜通りの伝承施設や研究機関、企業などを視察。各県人会同士の結束を強化し、本県の魅力を帰国後に発信してもらおうと県が主催した。最終日の17日は会津若松市を訪問する。

 福島の絆、心一つ

 第4回在外県人会サミットに参加している各国の県人会会長らは16日、県庁で内堀雅雄知事と懇談した。内堀知事は「県人会の皆さんと心を一つにし、福島を復興・再生させていく」と述べ、各国・地域での末永い支援を呼びかけた。

 内堀知事は「東日本大震災以降、各国・地域の県人会からは温かいエールをいただいた」と感謝した。

 続けて「福島の復興は着実に前進しているが、これからも長い道のりが続く。皆さんの応援は、福島が未来に向かって前進するための大きなエネルギーになる」と語り、交流の継続を求めた。

 懇談の場で、ブラジルの滝内・伊藤アドリアナ正友視(まゆみ)第1副会長は「24年ぶりに訪問して温かく迎えてくれたことがうれしい。かけがえのない古里への思いが強くなる」と述べた。オーストラリアのストックトン亜紀子会長は「企業や団体、学校、アーティストらの力を借りながら、今後も福島の情報を発信するイベントを企画していきたい」と意欲を示した。