復興、SDGs着実に 福島県民シンポ意見交換、必要な視点探る

 
トークセッションで意見を交わす(左から)内堀知事、長谷川さん、大山さん、大政さん、森さん、箭内さん

 県は19日、会津若松市で「ふくしま復興とSDGsを考える県民シンポジウム2023in会津」を開いた。内堀雅雄知事やクリエーティブディレクター・東京芸術大教授の箭内道彦さん(郡山市出身)らが登壇し、東日本大震災からの復興や持続可能な開発目標(SDGs)の達成に必要な視点や取り組みについて意見を交わした。

 県民シンポジウムの開催は10回目。これまでは震災が発生した3月に開催していたが、震災や東京電力福島第1原発事故の風化防止などを目的に初めて11月に開催した。約130人が参加し、オンラインでも配信した。

 「地域の魅力を見つめ直し、持続可能な社会へ」をテーマに行われたトークセッションには、会津美里町への移住定住者を支援する一般社団法人TORCH(トーチ)代表理事の長谷川祥子さん、昭和村でカスミソウを栽培する大山恵さん、はじまりの美術館(猪苗代町)学芸員の大政愛さん、「福島に住んで。」アドバイザーでLINEヤフー勤務の森禎行さんも登壇。関西学院大教授の村尾信尚さんが進行役を務めた。

 内堀知事は「第1原発で発生する処理水の海洋放出は20、30年続く問題」とし「政府、東電に対してとにかく安全に、着実に処理水、廃炉の問題をしっかり進めてほしいと言い続けたい」と力を込めた。箭内さんは復興のために重要なことの一つとして「外側の人に魅力を見つけてもらって、好きになってもらうこと」を挙げた。また、SDGsについては「SDGsは難しいものではなく、みんなの中で既に実践されているもの」と指摘。楽しく、面白く取り組む必要性を説いた。

 ポスターで取り組み紹介

 県民シンポジウムでは、震災からの復興やSDGsの達成に向けた活動の事例発表も行われ、長谷川さん、大山さん、大政さん、森さんが本県への移住のきっかけや、地域に根差した取り組みなどを紹介した。

 会場では、SDGsの推進に向けた取り組みを発表、展示する「SDGsポスターセッション」も行われた。猪苗代中、福島西高デザイン科学科、三義漆器店、一般社団法人CARNIVAL WORKS(カーニバルワークス)が発表した。

 このうち猪苗代中は、総合文化部の1、2年生が猪苗代湖の水質改善に向けた水草の除去作業や、コキアの栽培に取り組んでいることなどを紹介した。