94歳傷害致死、元特養職員に8年求刑 地裁郡山、弁護側無罪主張

 

 小野町の特別養護老人ホーム「つつじの里」で昨年10月、入所していた須賀川市の女性=当時(94)=が死亡した事件で、傷害致死の罪に問われた小野町和名田字下落合、元同施設職員の男(42)の裁判員裁判論告求刑公判は20日、地裁郡山支部(小野寺健太裁判長)で開かれた。検察側は懲役8年を求刑し、結審した。判決公判は27日午前10時半から。

 論告で検察側は、事件当時、女性の部屋に入ったのは夜勤中だった男のみで、解剖医の証言から腹部を殴るなどしたと考えられると指摘。その上で「体の不自由な女性に複数回にわたり強度の暴行を加え、悪質な犯行だ」と非難した。

 弁護側は「被告が犯人と確信できるほどに立証されていない」などと反論。男も最終意見陳述で「暴行は行っていない」と改めて無罪を主張した。

 被害者参加制度を利用して参加した女性の息子は意見陳述で、事件3日前に医師から「女性はまだまだ長生きできる」と言われたと明かし「あまりにひど過ぎる。できるだけ重い刑罰を科してほしい」と訴えた。