処理水、3回目の海洋放出完了 福島第1原発、次回は年明け以降

 

 東京電力は20日、福島第1原発でたまる処理水の3回目となる海洋放出を計画通りに完了し、年内予定分の放出を終えたと発表した。8月の放出開始後、目立ったトラブルはなく、東電などが第1原発の周辺海域で行っている海水や魚類のモニタリング(監視)でも異常は確認されなかった。4回目の放出は年明け以降に開始する。

 3回目の放出は2日に始まり、1日当たり約460トンの処理水を大量の海水で薄めて海に流した。今回の放出量は計7753トンで、放射性物質トリチウムの総量は約1兆ベクレル。東電は4回目の放出に向けて設備などの点検を行うほか、これまでの3回の放出に関する評価などを取りまとめる。

 本年度は計4回で約3万1200トンを放出する計画で、1回目は7788トン、2回目は7810トンを放出。3回の合計は2万3351トンで、トリチウム総量は年間計画(約22兆ベクレル)を大幅に下回る約3.2兆ベクレルだった。

 東電は、放出時の処理水に含まれるトリチウム濃度を国の基準の40分の1に当たる1リットル当たり1500ベクレル未満に設定。放出開始後は、周辺海域で採取した海水のトリチウム濃度の分析結果を翌日に公表しており、これまでの最大値は10月21日に検出した22ベクレルだった。当面は毎日分析を継続する。