早く仲間と野球したい 能登に野球留学、いわきに帰省中に地震

 
「能登の人たちに勇気を与えるプレーを見せたい」との思いを込め、トレーニングに励む永井さん=いわき市

 能登半島地震で甚大な被害を受け、休校が続く日本航空高校石川(石川県輪島市)の野球部員が、実家のあるいわき市で自宅待機の日々を送っている。1年生の永井孝太郎さん(15)=磐崎中卒=は帰省中に地震が起き、寮生活を送る石川県に戻れなくなった。「早くチームメートと練習したいが、今は自分にできることをやるだけです」。永井さんは自分にそう言い聞かせながら一人、黙々とトレーニングに励む。

 能登空港に隣接する高校は、敷地に大きな亀裂が入り、上下水道が不通となった。被災した同級生は多く、避難所で過ごしている友人もいる。「LINE(ライン)などで友達とやりとりしているが、話を聞くと心が痛む」

 投手の永井さんをはじめとする野球部員は、選抜大会出場という大きな目標に向かっている中で被災した。昨秋の北信越大会でベスト4に入り、出場枠が今年3校ある甲子園出場への期待が高まっていた。

 高校は現在、自衛隊などの支援部隊が寝泊まりしたり、指揮したりする被災地支援の最前線基地となり、戻る見通しは立っていない。生徒は3月までオンラインで授業を受け、4月以降は山梨県の系列校に整備される仮設の寄宿舎に、学校ごと一時避難する予定だ。

 苦境の中にある永井さんを支えているのは家族のほか、左腕エースとして所属していた中学硬式野球チーム「いわきボーイズ」の指導者や後輩たちだ。永井さんは週4日の練習に参加したり、いわき市内のジムで筋力トレーニングに取り組んだりしている。

 いわきボーイズでコーチを務める父親の孝幸さん(43)は「地震が起きた当初は仲間の安否を確認することで頭がいっぱいのようだった」と振り返り、「野球をしたくてもできない人もいる。この経験が人生の糧になるよう、今できることに全力で取り組んでほしい」とエールを送る。

 センバツ出て勇気を

 永井さんは離れ離れのチームメートと毎日のように連絡を取り、励まし合っている。その中で出る話は甲子園出場だ。「センバツに出場して、能登の人たちに勇気を与えられるようなプレーを見せたい」と思いを強くしている。(木村一幾)