寒さ...長期避難がリスク 能登地震、災害関連死増加防止へ警鐘

 
(写真上)被災地で患者をヘリに移送するメンバー(常磐病院提供)、(写真下)能登半島地震の被災地での活動を振り返る沢野医師(中央)ら常磐病院DMATのメンバー

 能登半島地震の被災地支援のため災害派遣医療チーム(DMAT)として石川県で活動した常磐病院(いわき市)の沢野豊明医師(33)らが福島民友新聞社の取材に答えた。沢野さんは災害関連死の増加に懸念を示し「災害関連死が集中する発災から3カ月の間に、手立てを講じる必要がある」と警鐘を鳴らす。

 沢野さんは4人のチームで6~8日、珠洲市総合病院に入った。急変した患者への対応や、移動が必要な患者を自衛隊のヘリに搬送する仕事などを担った。

 沢野さんはこれまで、坪倉正治福島医大放射線健康管理学講座主任教授らと共に、東日本大震災の災害関連死の調査や論文の発表などに取り組んできた。その経験から、能登半島地震の被災地でも「厳しい寒さや長期の避難生活に伴うストレスなどにより、被災者に災害関連死のリスクが増加している」と指摘する。

 被災地で移動手段のない高齢者らは持病があるにもかかわらず、周囲に頼ることを遠慮し、通院や薬が途切れて病状を悪化させるケースが少なくない。介護施設などに支援の手が行き渡っていない状況を踏まえ、沢野さんは「ケアが行き届かずに災害関連死が出ることを防ぐ必要がある。(医療の)リソース(資源)の配分を考えて対策しなければならない」と述べた。

 常磐病院、初の派遣

 常磐病院のDMAT派遣は初めて。看護師の大垣竜一郎さん(51)と泉田直人さん(33)、臨床工学技師の佐藤克彦さん(38)も現地で看護支援や搬送情報、医療物資の取りまとめなどを行った。診療放射線技師の諸杉凌さん(33)は常磐病院で準備や情報整理を担当した。

 佐藤さんは、技師がいなかった被災地の病院で、不足する医療機器の代用方法などを発案し、マニュアルを作成した。「情報を集約し、的確な対応を取る必要を感じた」と語る。

 東日本大震災で医療現場も経験した大垣さんは「当時は放射線の影響で物資や人工透析に必要な水が入ってこなかった。今回はそういったことがなく、原発事故の有無の大きさを改めて感じた」と振り返った。