事故要因は強い下降気流 県警ヘリ不時着、運輸安全委が報告書

 

 臓器移植用の心臓を搬送していた県警ヘリコプター「あづま」が2020年2月、郡山市三穂田町の田んぼに不時着し、7人が重軽傷を負った事故で、運輸安全委員会は25日、事故調査報告書を公表した。事故原因は強い下降気流に遭遇したヘリが機体の姿勢を立て直そうとした際に右回転し、メインローター(主回転翼)が機体後部に接触して部品が壊れ、操縦が困難になったことだったとした。

 報告書では、上昇気流と下降気流が短時間で激しく変化する領域にヘリが遭遇した可能性を指摘。強い下降気流でヘリの機首が下がって左に傾いたため、機長が機体の姿勢を保持しようと操縦装置を右後方に大きく操作したことで、360度を超える右回転が生じた。その際、メインローターブレード(羽根)がテールローター(後部回転翼)に動力を伝える駆動軸の「ドライブシャフト」と接触。ドライブシャフトが切断され、機体を安定させる機能があるテールローターが停止し、操作困難となって不時着、横転したとしている。

 また降下中に機長が着陸装置を下げて不時着したことは耐衝撃性の観点から極めて有効で、負傷程度の緩和に役立った点や、操縦が困難な中で民家を避けて不時着したことが適切だったと言及している。

 再発防止策では、模擬飛行装置などを使用した訓練実施の必要性などを挙げた。県警は事故後、気象状況や装備品などを記した飛行計画チェックシートを新たに定め、搭乗員全員で主要な危険要因と対策についての情報共有を図るなどしている。

 県警警備課は「報告書の内容を真摯(しんし)に受け止め再発防止に向けて安全対策を徹底し、航空機の安全な運航に努める」とコメントした。

 事故は20年2月1日午前8時10分ごろに発生。ヘリは移植用の心臓を東大病院に運ぶため会津若松市から福島空港に向かう途中で、乗っていた医師や操縦士らが重軽傷を負った。移植は中止となった。事故を巡っては、県警が業務上過失致傷などの疑いもあるとみて捜査している。