デブリ採取、年度内の着手断念 取り出し方法変更で3度目の延期

 

 東京電力福島第1原発事故で溶け落ちた核燃料(デブリ)の2号機からの試験的取り出しを巡り、東電は25日、本年度内としていた作業の着手を断念すると発表した。取り出し方法を遠隔操作機器「ロボットアーム」から、過去の調査で実績がある伸縮式のパイプ型の機器へと変更し、遅くとも今年10月までに着手することを明らかにした。作業の延期は3度目となり、廃炉の最難関とされるデブリ取り出しに向けた道のりの険しさが改めて浮き彫りとなった。

 東電はデブリの取り出しに向けて今月から、ロボットアームを挿入する原子炉格納容器の貫通部にある堆積物の除去作業を始め、現在は低圧水で泥状の堆積物を取り除いている。一方、ケーブルなどは残ったままで、今後の除去作業が順調に進むかは不透明な状況にある。さらにロボットアームの改良やそれに伴う確認試験も続ける必要があり、実績があるパイプ型機器による取り出しに変えた方が確実性が高いと判断した。

 この機器は、2019年に2号機原子炉格納容器でデブリとみられる堆積物を持ち上げた実績があり、ロボットアームでの取り出しが困難な場合の補完案として東電が検討を進めていた。

 ただ、改めて原子力規制庁へ申請する手続きがあることなどから、半年程度の延期が必要となった。

 一方でロボットアームはパイプ型の機器と比べて広範囲での調査が可能だ。東電は今後の内部調査や、デブリの取り出しで改めて活用する考えで、引き続き改良作業を進めるという。

 デブリの試験的取り出しを巡り、東電は当初、21年の着手を予定。ただ、新型コロナウイルスの影響で、英国からロボットアームの到着が遅れたほか、機器の改良にも時間を要し、2度にわたって延期を余儀なくされてきた経緯がある。

 25日の記者会見で東電福島第1廃炉推進カンパニーの小野明最高責任者は「デブリの取り出しは前例のない作業で廃炉の『本丸』と認識している。安全のために必要な工程変更だ」と強調。一方で、30~40年とする廃炉完了の目標に変更はないとした。