【環境考察/森の再生】木の端材を発電原料に 再エネで注目

 
木質ペレットを手にする渡辺副社長。発電する際の燃料となる=いわき市

 ■CO2削減に貢献

 木くずなどを使って発電するバイオマス発電所の建設が各地で進んでいる。再生可能エネルギーの一つで、二酸化炭素(CO2)の排出削減などに貢献できるとされるためだ。木材を活用する木質バイオマスは森林資源を生かしたエネルギー源としても注目される。

 「これが木質ペレットです」。2022年4月に木質バイオマス発電施設を稼働させたエイブルエナジー(いわき市)副社長・福島いわきバイオマス発電所長の渡辺正元(65)は直径数ミリ、長さ数センチの固形物を手にした。木質ペレットは端材などが使われており、ストーブやボイラーの燃料にもなる。同社は再生可能エネルギーの固定価格買い取り制度(FIT)で認められた木質ペレットを年間約44万トン調達しており、専用のボイラーで燃やし、発生した蒸気でタービンを回して発電している。

 施設の発電出力は国内最大規模の約11万キロワット。年間発電量は一般家庭約25万世帯分に相当する約7・7億キロワット時で、東北電力ネットワークに売電している。渡辺は「木質ペレットを大型車両で運搬する際にどうしてもCO2が出てしまうので、そこを何とか抑えたい。燃焼時に出る燃え殻なども有効に活用できれば、さらに環境に良いものになる」と説明する。

 県内では同社のほか、会津若松市や相馬市、古殿町などにもバイオマス発電施設があり、会津坂下町や飯舘村では木質バイオマス発電施設の建設が進行中だ。出力は数千キロワットから数万キロワットまでさまざま。発電の際に生じる熱を近くの温浴施設などに供給するケースもある。

 再生可能エネルギーの推進を掲げる県は、木質を含むバイオマス発電の設備容量を20年度の25万7千キロワットから30年度に45万キロワットに引き上げる計画だ。

 ■調達と採算 課題

 「課題は燃料の安定的な調達と採算性」。再生可能エネルギー関連産業の支援などを手がけるエネルギー・エージェンシーふくしま(郡山市)チーフコーディネーターの小熊正人(65)は指摘する。木質バイオマスの稼働には安定的な燃料の確保が欠かせない。ただ、輸入に頼ると円安や海外情勢に左右されるため、影響を懸念する声も出始めている。

 一方、国内では林業が低調で、県内では放射性物質という特有の問題も抱える。木質バイオマス発電の発展に向け、小熊は「魅力ある森林事業に発展させることが重要。そのためには、もっと県産材を利用する産業を育てていくことも必要ではないか」と提言した。(文中敬称略)

 バイオマス発電 木くずや燃えるごみなどを燃焼する際の熱を利用して発電する方法。2012年に再生可能エネルギー固定価格買い取り制度(FIT)が始まって以降、普及が進んでいる。発電時に排出される二酸化炭素(CO2)は樹木の成長過程で吸収するため、排出量は実質ゼロとみなされる。