再起への思い...輪島朝市、鎮魂の祈り 能登地震・福島民友記者ルポ

 
能登半島地震で建物の倒壊に加えて、大規模火災が起きた輪島朝市通りで、発生時刻に合わせて黙とうをささげる輪島朝市の関係者=1日午後4時10分、石川県輪島市

 石川県内を中心に甚大な被害をもたらした能登半島地震は1日、発生から1カ月を迎えた。最大震度7の地震があった午後4時10分、約200棟以上に延焼し、全域が焼失した輪島市中心部にある観光地「輪島朝市」では、遺族や再起を誓う出店者らがさまざまな思いを交錯させながら、鎮魂の祈りをささげた。

 「本人たちはまだ、自分が亡くなったことを分かっていないんじゃないかな。寂しいよ」。輪島朝市の火災で住宅が全焼し、親族3人を亡くした金沢市の東克典さん(67)は数珠を持ち、親族の自宅があった場所で手を合わせた。「家族のような親戚だった。まだ気持ちの整理がつかないけど、『ありがとう』と伝えたよ」と言葉を詰まらせた。

 「日本三大朝市」の一つとされ、約1300年の歴史がある輪島朝市。出店者らでつくる輪島市朝市組合の関係者も、1カ月前までにぎわいを見せていた通りで静かに手を合わせた。「歴史の中で大火は3度もあった。そのたびに朝市は人の手で再起してきた。どんな形であれ、再起してみせる」。理事の中道肇さん(66)は言葉に力を込めた。

 続く捜索活動

 一方、大規模な土砂崩れが発生した輪島市市ノ瀬町では1日も、捜索活動が続けられていた。冷たい雨風や雪が降りしきる中、泥だらけになりながら不明者の安否確認を急ぐ消防隊員の姿があった。

 土砂崩れに巻き込まれたとみられる垣地英次さん(56)の自宅は、元の場所から約100メートル離れた地点まで流されていた。2階部分は残っていたが、1階は土砂にのみ込まれて場所の見当がついていない。服や写真などは発見されたが、垣地さんは今も見つかっていない。「一刻も早く家族に会わせてあげたい」。その一心が、隊員たちを突き動かしていた。

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雨や雪が降る中、重機を使って捜索活動を行う消防隊員ら=輪島市

 臨時朝市計画

 それぞれの1カ月が過ぎた。捜索活動が続く今はまだ、復興のスタートラインに立ったとは言えない。それでも朝市組合では、金沢市金石(かないわ)町で臨時の朝市を開催する計画が持ち上がっているという。「絶対に朝市の火を消してはならない」と冨水(とみず)長毅(ながたけ)組合長(55)。未曽有の災害を乗り越えようとする被災者、被災地の底力を確かに感じた。(報道部・多勢ひかる、報道部写真映像課・石井裕貴)