相双沖、ズワイガニ不漁「沖に移動か」 松川浦漁港の競りも中止

 
不漁でズワイガニの競りが見送りになった相馬双葉漁協の荷さばき施設 =1日、相馬市

 相馬双葉漁協のズワイガニ漁が1月に始まったが、相馬市の松川浦漁港で水揚げがほとんどない状態が続いている。1日に予定されていた競りも、不漁で見送りになった。漁業者は「海底の水温が上がり、取れる場所が変わってしまったのではないか」と語る。

 ズワイガニの漁期は12月~翌年3月。本県ではほとんどを相馬双葉漁協の沖合底引き網船が漁獲している。国は資源保護を理由に漁獲量を制限しており、今季本県で水揚げできるのは約13・8トンだった。

 だが、1月18日に11隻で実施した今季初めてのズワイガニ漁は、漁獲がほぼなかった。2回目となる同31日は10隻が出漁したが、網にカニはほとんどかからなかった。

 2回目の漁に出た高橋英智さん(61)は「3回網を引いたが、入ったのは雄1匹だけだった。海底の水温が高くて、より水温が低い沖合の深い方に移動してしまったのではないか」と語る。

 ズワイガニの資源量などを調査している国立研究開発法人「水産研究・教育機構」によると、2010年漁期に本県では154・9トンが水揚げされていたが、東日本大震災後、大幅に減少。22年漁期は13・7トンだった。海底水温の上昇のほか、生態系の変化などが影響したとしているが、詳しい理由は分かっていないという。昨年10~11月に実施した調査では本県沖でズワイガニの分布密度が前年より高くなっていただけに担当者は「急にいなくなるとは思っていなかった」と驚く。

 高橋さんは「変わったのはズワイガニだけではない。タラは全く南下しなくなり、サバやイワシが取れるようになった。これまでの常識が通用しなくなった」と話した。