福島駅前ビル、規模縮小 資材価格高騰で採算取れず

 

 福島市のJR福島駅東口に大型複合施設を建設する再開発事業で、市と地権者でつくる再開発組合の両者は2日、資材価格の高騰に伴い現計画では採算が取れないとして、規模を縮小する方針を発表した。再開発ビルの中核の複合棟を民間の商業施設やオフィス、ホテルが入る「権利者棟」と市の交流・集客拠点施設となる「公共棟」の2棟に分ける。公共棟に〈1〉劇場ホール〈2〉コンベンションホール―のいずれかを単独で整備する案も示した。

複合棟の分棟化のイメージ

 市と組合が市議会に説明した。現計画は工事費縮減や国の補助金増額を考慮しても、予算が50億円不足する。このため、計画を踏み込んで見直し、共用部分の工事単価が高い複合棟を2棟に整理した。駅前通りに面する商業施設の範囲が狭まり、交流・集客拠点施設も劇場ホールとコンベンションホールの両方の機能を備える計画を断念する。

 劇場ホール案は客席数を現計画の1500席程度から約1000席に減らす。3~6階部分を使った固定段床式の客席からステージが見やすく、音楽や演劇、舞踏公演の利用も見込む。

 コンベンションホール案は平面でステージや座席が常設ではないが、約1500平方メートルに1000~1500席を用意できる。1階に入り口があり、屋外からも誘客できるため、物産フェアやイベントの開催も想定している。いずれも大会や学会の会場にも利用される。

 現計画は全体の工事費が従来の361億円から資材高で3割以上膨らみ、使用する資材の変更などで縮減を図った場合も454億円に上る。一方、劇場ホール案は約360億~410億円、コンベンションホール案は約290億~340億円に減額できると概算で見積もっており、事業成立に向けためどが立つ。

 オープンは当初予定から約1年遅れの2027年度にずれ込むことが決まっていたが、計画の見直しで新たな設計が必要となり、劇場ホール案は29年度、コンベンションホール案は28年度ごろまで後ろ倒しとなる見込み。

 木幡浩市長は「この間はイベントなどで活性化を図る」と説明し、「議論が拙速になってはいけない。2案を軸に皆さんの意見を聞いてブラッシュアップしたい」と述べた。

 「権利者棟」再検討

 地上12階建ての計画だった複合棟は再開発組合が「権利者棟」として再検討する。中合があった旧辰巳屋ビルより小規模となる。

 組合は福島駅前の市場環境の変化や工事費高騰に伴う賃料上昇への懸念などを理由に商業施設に入居する事業者との交渉が難航していることも明らかにした。当初はキーテナントによる一括借り上げを目指していたが、現在は複数事業者と個別に交渉中。ただ「東北では仙台以外は商圏にならない」との声も多く、1件も契約に至っていない。