「家族が心配」中学生集団避難、輪島に残る選択 能登地震

 
地元に残ることを決めた船本さん。友達に会えないつらさなどと闘いながら、毎日を生きる=1月30日午後2時半ごろ、輪島市

 能登半島地震で被災した石川県珠洲市、輪島市、能登町の3市町では、学習機会を確保するため、中学生の集団避難が続いている。突如迫られた選択で、家族と共に生活環境が整っていない古里に残ることを選んだ生徒は、さまざまな葛藤を抱えていた。

 「向こうに行けば友達と一緒にいられる。正直迷ったけど...」。輪島中3年の船本美優さん(15)は集団避難せず、地元の輪島市にとどまる道を選んだ。

 市内の中学生の集団避難は1月17日に始まり、約250人が約100キロ離れた同県白山市の県立施設に身を寄せている。共同生活を送る生徒には食事や入浴の機会が保障されている。

 船本さんは自宅近くの合同庁舎で避難生活を続け、周囲に気を使う日々を過ごす。簡易シャワーや仮設トイレを使うのも気が重い。それでも「いつ大きな地震が起きるか分からない。家族の身が心配だった」と輪島に残ることを決めた。

 進学先が既に決まっている船本さん。現在は1日1~3時間ほど、市内に残った先生からオンラインで授業を受けているが「通信環境が悪く、黒板の字が見えにくい」との悩みも。オンラインに参加するのは約20人という。

 集団避難した友人とは地震後、一度も会えていない。「分かってはいたけど本当は会いたい」と本音を口にする。3月には卒業式を迎える。「最後はみんなで集まれるのかな」

 ただ、船本さんは「つらくても家族と一緒だから心強い。輪島に残って良かった」と話す。母さおりさん(49)も「近くにいるから小さな変化にも気付ける」と地元に残る利点を話す。

 石川県教委によると、3市町の中学生約850人のうち、半数近くの約400人(1月30日時点)が集団避難している。ただ、避難生活の疲れなどから途中で集団避難に加わったり、ホームシックで親元に戻ったりする生徒もいるという。各市町教委は類を見ない取り組みだけに、学習環境の整備や心のケアなどの対応を模索している。集団避難先にカウンセラーを設置したり、地元で暮らす家族や友人と通信できるようスマートフォンを用意したりしている。

 珠洲市の担当者は「学習ペースにも差が出ないよう考えながら対応していく」と話した。(記事、写真とも報道部・三沢誠)