学生よ...起業目指せ!福島高専が試作工房 「思いを形に」後押し

 

 福島高専(いわき市)は新年度、起業家育成に向けた「アントレプレナーシップ教育」を本格化させる。学内に3Dプリンターなどの最先端機器を備えた「モノづくり工房(仮称)」を開設し、学生が自らのアイデアを形にできる場として整備。製品やビジネスプランを競う学内外のコンテストへの参加を促し、学生のものづくりを基盤とした起業を後押しする方針だ。

 学生が講義を受けてアイデアを練り上げ、製品を試作。コンテストで試作品を公開する経験を積むことで、起業につなげる狙いがある。

 カリキュラムは、本科1年生と4年生の科目として昨年10月に導入。特に4年生は、市民の健康や公共交通機関の減少など、いわき市の課題に切り込み、本年度内に解決のためのアプリの試作まで行う予定だ。

 工房は製品の試作の場として、地域環境テクノセンター内に4月に整備する。既に大部分の機器が入り、試行的に開設している。複数素材に印刷できる紫外線(UV)プリンターやカーボンファイバー(炭素繊維)造形が可能な3Dプリンター、容器や工業部品などの試作品を設計、成型できる真空成型機など10種類以上の機器を設置。ロボットの部品やドローンの機体など、さまざまな試作が可能となる。音響や動画制作に関する設備も配備する。

 同校は4月から、本科2年時の必修科目として、工房を活用した授業をカリキュラムに加える。併せて愛好会を設立し、工房での試作品製作やコンテスト応募に向けた活動を始める。

 学生が自由にものづくりができる場としても工房を開放する考えで、実際に活用しながら、機材使用のルール作りを進めている。試行利用している舟木柊太さん(機械システム工学科4年)は「自分の手でものづくりができ、改善できる環境はありがたい」と語る。

 同校は従来の工学系学科に加え、経営アイデアの創出に強い「ビジネスコミュニケーション学科」がある強みを生かそうと、文部科学省が進めるアントレプレナーシップ教育推進に向けた環境整備事業に参加。工房開設を記念し、製品やデザイン、ビジネスアイデアを今月まで募集し、作品コンテストを開く予定だ。

 担当の緑川猛彦副校長は「停滞する世の中を動かすために、自らのアイデアで問題を解決する人材が求められている。工房を活用して1人でも2人でも起業家が出てほしい」と期待した。

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 アントレプレナーシップ教育 起業家的な精神と資質・能力を育む教育。文部科学省は優れた技術力と柔軟なアイデアを持つ若い人材を支援するため、2022年度2次補正予算で高専向けの教育環境整備事業に60億円を確保した。国内の各高専で起業家育成に向けた試作スペース整備やカリキュラム導入が進んでいる。