「多様な性」に理解を 福島県出前講座、人権や共生在り方模索

 
「多様な性」について高校生に教える夏目さん。年代や文化、立場などによって異なる価値観を受け入れる大切さを伝えた=1月下旬

 LGBTなど性的少数者の人権や男女共同参画の在り方を考える県の出前講座「次世代スクールプロジェクト」が県内の小中学校や高校などから注目を集めている。10年目を迎えた本年度は高校の元校長が積極的に各地を回り、開催回数は例年の2倍以上になる見通しだ。「LGBT理解増進法」の施行などで社会的機運が高まる中、教育現場も模索を続けている。

 「皆さんは性の数について知っていますか」

 県内の高校で1月下旬、県男女共生課の夏目利江子主事=郡山東高校長を昨春定年退職=が生徒に質問した。講座のテーマは「多様な性」。男女だけでなく、性的指向や性自認によって多くの定義があることを紹介し「多数派が『普通』ではなく、時代や文化によって価値観も変わる。多様な考えを理解し、相手を大切にできる大人になってください」と語りかけた。

 LGBTなどの性的少数者の割合は10%弱とされ、学校の各クラスにも3、4人はいる計算になる。この日の生徒約60人は授業に熱心に耳を傾け、男子生徒(16)は取材に「性がこんなに多いとは知らなかった。偏見や思い込みを持たず、違いを受け入れて周りと接したい」と語った。

 2014年度に始まった出前講座の開催数は、例年30回前後だったが、本年度は68回を見込む。夏目さんが人脈を基に各校に打診し、学校側からも引き合いが増えたという。

 昨年6月にLGBT法が施行され、近年は教科書でも性的少数者に関する記述が増え、教育現場の対応も広がりつつある。学校関係者によると、県内の高校ではある男子生徒が入学時に女性として生きると決め、学校側は制服や更衣室、トイレなどの対応を取った。

 50代の高校養護教諭は「もし同じ状況に直面したら適切に行動できるだろうか。想像もできない」と打ち明ける。大半の教員は性的少数者への理解が十分とは言えないとして、研修などを通じて「先生も学び続けることが大事」と述べた。

 「人間関係がこじれれば、いじめやハラスメントなどに発展することもある」と夏目さん。「子どもの気持ちを起点に、学校組織として考える一つの機会を提供できればいい」と話した。

 出前講座は新年度も続く見込みで、現場の声を反映させながら、次世代の人材を育てていく。

県内小中高と連携 出前講座では県内の学校と連携し、互いの性や個性を尊重する大切さを学ぶ授業を行う。多様な性のほかに男女共同参画、ハラスメントなどのテーマを教職員や児童、生徒向けに扱っている。