AIが観光案内 会津大発ベンチャー開発 英語、中国語も対応

 
AIが観光案内するアプリの画面のイメージ。英語、中国語にも対応する予定だ

 会津大発ベンチャー企業の会津コンピュータサイエンス研究所(福島県会津若松市)は今春にも、対話型人工知能(AI)が観光客の質問に答えるスマートフォン向けアプリの配信を開始する。多様な質問に素早く答えられるのが特徴。日本語のほか英語、中国語にも対応する。デジタルの力でインバウンド(訪日客)を呼び込み、新型コロナウイルス禍からの観光再生を後押しする考えだ。

 「熟練の観光ガイドがスマホの中にいるような感覚で旅行を楽しめるようにしたい」。取締役所長の久田雅之さん(49)は思いを語る。市内の観光地でパンフレットを熟読している外国人観光客を見て「知りたい情報がすぐに分かれば、もっと地域の魅力が伝わるのではないか」と感じたのが開発のきっかけだ。

 アプリに「(会津若松市で)最も有名な観光名所はどこですか」と質問すると、AIが「鶴ケ城です」と回答、天守閣からの眺めや売店で売っている「しゃちほこ焼き」を勧める。多い場所で100件ほどの質問と回答を用意しており、その中からAIが最適な内容を選んで回答する仕組みだ。鶴ケ城では見どころ、駐車場の有無、土産を買える場所、食事ができる場所などの質問を想定して回答を入力している。

 既存のAIは、鶴ケ城について「鶴」と「城」を別々に認識して「クレイン(鶴)キャッスル(城)」と誤訳するなどミスも多い。

 同社は鶴ケ城などの固有名詞をAIに覚えさせることで誤訳を防ぎ、地元企業として観光客の利便性の向上につなげたい考え。配信時までに飯盛山、東山と芦ノ牧の両温泉街など会津若松市の主要な観光地の情報を入力し、その後は市外にも拡大する予定だ。

 固有名詞ばかりでなく、観光客が快適に利用できるよう、回答は観光ガイドのような丁寧な言葉遣いを選んでいる。質問は文字入力に加え、音声入力にも対応する。

 それでも既存の対話型AIと同様に、回答の正確さは課題だ。そのためアプリには、言い回しに違和感があったり、知りたい情報が分からなかったりしたら利用者に知らせてもらう機能を設けて、利用者の声を取り入れながら配信後も改善を続ける。

 将来的には利用者の興味のありそうな情報をAIが推測し、紹介する機能を追加する考えだ。久田さんは「さまざまな場所に散らばった情報を統合してAIに学習させることで、季節や時間、旅行者の趣味などを踏まえた最適なおもてなしを提案できる」と話す。