被災ホテル「ここで終わるわけには」 21年福島県沖地震から3年

 
3月15日にオープンする新しいホテルの前に立つ舘山さん。「宿泊客にも、地域の人にも喜ばれるホテルにしたい」と話す

 2021年と22年に相次いで発生した本県沖を震源とする地震。21年2月の最初の地震の発生から13日で3年となるが、2年連続の地震がもたらした被害の影響は現在も続いている。いずれの地震でも県内最大の震度6強を観測した相馬市では、甚大な被害を受けたホテルの関係者が再建に向けて歩みを進めている。

 建物被害で休業

 「ここからが本当のスタート。オープンまでしっかり準備して、お客さんを迎え入れたい」。相馬ステーションホテル(相馬市)を運営する「泉」社長の舘山友美子さん(51)は、3月15日の営業再開を前に慌ただしい日々を過ごしている。

 1994年に建設された以前の建物は、相次ぐ地震で深刻なダメージを受けた。22年の地震後の調査で建物の構造的な被害が発覚し、休業を余儀なくされた。「また地震が起きれば、お客さんの安全が確保できない。予約も入っていたが、断るしかなかった」と当時を振り返る。営業を再開するには建て替えるしかなかった。廃業も頭をよぎったが、「ここで終わるわけにはいかない」。舘山さんは現地での再建を決意した。

 相馬ステーションホテルは、先代の父正さんが開業した。JR相馬駅から徒歩1分の立地の良さから、多くのビジネスマンや観光客に親しまれてきた。舘山さんは、ホテルの解体工事が始まった日のことを忘れることができない。重機の爪がホテルの壁に突き刺さった時、自然と涙がこぼれた。空からは急に雨粒が落ちて、09年に亡くなった父も一緒に泣いてくれているのだと思った。

 地域の人のため

 昨春から始まった再建工事は大詰めを迎えている。今後はベッドや家具の運び込みが始まる。新しいホテルでは新たにランチの営業も始める。舘山さんは「宿泊するお客さんはもちろん、地域の人に喜ばれるホテルにしたい」と思いを語る。

 相馬市にはホテル、旅館、民宿などが36施設あり、地震でほとんどが一時休業状態となった。松川浦周辺の民宿3施設は廃業を決めた。相馬商工会議所が22年6月にまとめた被害状況調査によると、宿泊業の被害金額は47億2000万円に上る。現在、通常通り営業できているのは26施設で、相馬ステーションホテルを含む6施設が建て替えた上での営業再開を決めている。(丹治隆宏)

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 2021年と22年の本県沖地震 21年2月13日深夜と22年3月16日深夜、本県沖を震源とするいずれも最大震度6強の地震が発生した。県のまとめによると、21年の地震では2人が死亡し100人が負傷、建物被害は2万5000棟以上。22年の地震では1人が死亡し、101人が負傷、建物被害は3万9000棟を超えた。