【復興財源の行方】避難者見守り続ける 孤立防止へ支援継続必要

 
集会所で歓談する避難者と避難者地域支援コーディネーター=5日、郡山市

 5階建ての3棟が並ぶ郡山市の復興公営住宅富田団地。5日、一角にある集会所にはトランプを楽しむ入居者らの笑い声が響き、和やかな空気に包まれていた。この集会所では市社会福祉協議会が月2回、交流の場としてサロンを開いている。

 県が各地に建設した復興公営住宅には東京電力福島第1原発事故で避難を余儀なくされた住民が暮らす。富田団地には避難者以外の若い家族も入居するようになったが、1人暮らしの割合は7割に迫る。自治会の斎藤秀雄会長(75)=富岡町から避難=は「(高齢避難者の)ほとんどは1人暮らしだ。外出しない人も多い」と話す。

 郡山、自立を支援

 被災者支援といったソフト事業を支えるのが、国の交付金だ。復興庁は2024年度予算案で福島、宮城、岩手の被災3県などへの被災者支援総合交付金に93億円を確保。交付金の予算額は減少傾向にあるが、支援団体による見守り活動や被災者の心のケア、コミュニティーづくりなどの活動に使われている。

 1995年1月の阪神大震災では仮設住宅や災害復興公営住宅で入居する高齢者らの「孤独死」が問題となり、自治体が見守り活動に力を注いだ。事業の財源は、兵庫県と神戸市が出資した復興基金だった。基金が17年度に底を突くと、復興公営住宅の入居者の見守り活動については、県が一般会計の施策として存続。神戸市は県の補助を受け、20年度まで独自に続けた。

 本県では避難の長期化により高齢化する避難者の孤立をいかに防ぐかが課題となっている。現場で活動する郡山市社協の避難者地域支援コーディネーターの一人は「原発事故から13年がたち、避難者への支援は変化した」と説明する。発災直後は先行きが不透明な状況での不安に寄り添うため、避難者の元に足しげく通った。今は避難者が避難先の地域に溶け込み、自立していくため「地域との橋渡し役」を心がける。

 郡山市社協避難者生活支援相談室の渡部明美室長(62)は「避難者は自分の意思ではなく、避難先を転々とすることになった。誰も取り残してはいけないし『見放された』という思いにさせてはいけない」と支援継続の必要性を挙げた。

 ハード事業完了

 一方、ハード面を巡っては、新たな課題が浮かびつつある。東日本大震災後、本県を含む被災自治体は国の財政支援などを活用し、大規模な公共施設を相次いで整備した。時間の経過につれ、自治体内からは将来にわたる維持管理や設備の更新に伴う負担増を不安視する声が出始めた。住民からは「(自治体は)目先の財政支援に飛びつき、十分な利用が見込めないのに、過大な施設を造ってしまった。見通しが甘い」との批判も上がる。

 政府関係者は「ハード面を中心に大規模な復興事業は、ほぼ完了した。物価高の収束の気配が見えない中、今後は本当に必要な復興事業に絞らなければ、国民の理解を得られない」と打ち明けた。