福島県内高校生、原発の疑問ぶつける グロッシ事務局長と意見交換

 
グロッシ事務局長(左から2人目)に質問する高校生ら=13日、富岡町

 福島県富岡町で13日に行われた国際原子力機関(IAEA)のグロッシ事務局長と県内の高校生との意見交換。東京電力福島第1原発事故に伴う課題を抱える本県の高校生たちが、復興に対する率直な思いをグロッシ氏にぶつけた。グロッシ氏は丁寧な回答で、高校生がより深く考えるきっかけをつくった。

 会場には県内7高校の約120人が集まり、約10人が質問に立った。磐城桜が丘高の生徒は処理水の海洋放出について「円滑に進めるためには信頼が重要だが、相次ぐトラブルや対応の悪さで不信感が強い」と問うと、グロッシ氏は「完璧というレベルまではいかないが、IAEAが独立したチェックを求めたら政府や東電は受け入れた」と答えた。

 磐城高の生徒は「私たちに事故の責任はないが、最後まで見届けなければいけない。課題や責任を引き継ぐことをどう思うか」と質問すると、グロッシ氏は「全員がさまざまな重荷を背負っている。社会や次世代が重荷を背負う状況は常にある」などと説明した。

 相馬高と原町高の生徒は「廃炉の完了と福島の復興は密接に関わる。福島の復興のゴールは何か」と質問。グロッシ氏は「廃炉と復興は常に同時並行という見方がある。廃炉に向けた活動を利用し、成長につなげていけば強靭(きょうじん)性を持った地域に生まれ変われると確信している」と答えた。

 意見交換後、磐城高2年の神谷菜月さん(17)は「質問に対して真摯(しんし)に向き合ってくれた。回答を基に自分の答えを見つけたい」と語った。

 原町高2年の大井紀葉(もとは)さん(17)は廃炉や処理水について学んでおり「(グロッシ氏の)熱意が伝わった」と感銘を受けた様子だった。

 グロッシ氏の帰り際、高校生が「来年もまた来て」と要望すると、グロッシ氏は応じる様子を見せた。

 意見交換は次代を担う高校生とIAEAが意見を交わす場をつくろうと、NPO法人ハッピーロードネット(広野町)が企画した。グロッシ氏の参加は同NPOの西本由美子理事長が打診したことがきっかけ。グロッシ氏は参加理由を「高校生に現状を話すことは将来に影響する。日本の若者の考えを知ることが重要」と語り、IAEAの役目などを説明した。