浪江集団訴訟、和解成立 ADRで決裂、第1陣原告696人と

 

 裁判外紛争解決手続き(ADR)の決裂を受け、東京電力福島第1原発事故で避難した浪江町民721人が国と東電に慰謝料など約88億5000万円の損害賠償を求めた第1陣の集団訴訟は14日、福島地裁(小川理佳裁判長)で原告側と東電の和解が成立した。今回和解したのは、昨年6月の結審後、訴えを取り下げた25人を除く696人全員。国への訴えは取り下げた。

 原告側弁護団によると、原発事故を巡る同種訴訟での和解成立は4例目。

 町は2013年5月、町民の7割に当たる約1万5千人の代理人として慰謝料の増額を求め、原子力損害賠償紛争解決センターに手続きを申し立てた。同センターの和解案に対して東電が複数回拒否したことで18年4月に手続きは決裂。同年11月に町民が提訴した。

 弁護団によると、今年2月、早期解決が望ましいとして福島地裁から和解勧告があった。昨年10月に地裁いわき支部で双葉郡などの住民が和解したこともあり、原告間で和解する意思が固まったという。

 弁護団によると、和解条項により賠償額は非公開だが、22年12月に見直された国の賠償基準「第5次追補」を超える額が設定されたという。東電による原告への謝罪なども盛り込まれた。

 また和解勧告書では、国の法的責任を問うことは困難だが、「国と東電は原発の防災対策の在り方を検討すべきだった」とし、22年6月の最高裁判決で判断しなかった点まで言及した。

 原告側は和解協議後、福島市で記者会見を開いた。原発事故から13年、提訴から5年を経て迎えた一つの結論に鈴木正一原告団長(73)は「訴訟の途中で亡くなった人もいて、多くの原告が早期解決を望んでいた。和解は苦渋の決断だが、原告団に寄り添った和解内容だ」と話した。賠償請求に尽力した故馬場有町長(当時)について「町長の導きがあったから和解を得られた」と話した。