【エフレイ設立1年】山崎理事長、2年目「研究環境を具体化」

 
やまざき・こうえつ 富山県出身。金沢大大学院工学研究科修士課程修了。同大理工学域長、副学長などを経て2014年4月から22年3月まで学長を務めた。23年4月、福島国際研究教育機構の初代理事長に就任。専門は機械工学。72歳。

 世界に冠たる創造的復興の中核拠点へ―。期待を背負い始動した福島国際研究教育機構(エフレイ)が設立1周年を迎えた。現状と展望について山崎光悦理事長に聞いた。

 ―初年度の評価は。
 「自己評価は60点。(初期の)研究開発を担う外部委託先を公募したが、募集要領に直球を投げ返す提案がなかなか来なかった。大学や研究機関が連携して正面から取り組むコンソーシアム(共同事業体)をつくるのに時間がかかっている。4月末までには(公募した27の研究テーマの)委託先がほぼ出そろう見込みだ」

 「こうした現状があるため、直球を投げられる研究代表者を自分たちで探している。世界で名前をとどろかせている研究者や今後が期待できる若手を集め、世界トップレベルの研究を長く継続できる体制を構築したい。6年後に見込む研究者500人のうち、女性と外国人はそれぞれ150人集められればいい」

 ―海外の研究者を浜通りに呼び込めるのか。
 「ハードルは高く、原発事故被災地の復興に使命感を抱いてもらうしかない。欧米の研究機関を訪ね、まずは『一度見に来てほしい』と伝えている。現所属のまま雇用契約を結ぶ形式から始め、少しずつ軸足をエフレイに移してもらう想定だ」

 ―2年目の重点は。
 「研究代表者をいかに多く確保できるか。1年後には(計画の10人を上回る)15人は確保できると思う。それぞれ3、4人のチームを編成し、(組織内の)研究者は50人を超したい。初年度の遅れは取り返せる」

 「もう一つは本施設の整備だ。国が基本計画を策定し、今後は建物の構造や実験装置など研究環境を具体化する段階に入る。世界的に優位な環境をつくれるかが重要になる」

 ―広域連携の手応えは。
 「市町村座談会などを通じて浜通りの課題を拾い、理解することはできた。ただ、県全体のニーズをつかむにはもう1年かかる。各市町村が(住環境整備などに)動き出している手応えはある」

 ―人口減など地域課題の解決も期待されている。
 「直接人を呼び込むことはできないが、研究成果を社会実装(産業化)し、製品や技術が伝わることで自然と人は集まる。一つでも成功事例をつくり、日本中に示せば認知度不足も一瞬で解消するはずだ」

 ―中長期で目指す方向性は。
 「やはり最重要使命は研究開発。あっと驚かせる成果を出し、皆さんの話題に上ることを目指している。2年目の終わりには一つ成果を出せるかもしれない。そうした成果を積み上げ、将来は地元から『おらがエフレイ』と誇りに思ってもらえる存在になりたい」