ドナー休暇...理解を 福島県内経験者、骨髄移植推進へ導入訴え

 
骨髄ドナー休暇制度を導入した企業・団体に贈られるボードを手にするJA東西しらかわの菊池組合長。「ドナーが提供できる態勢を整え、社会貢献につなげたい」と語る

 白血病などの血液疾患を治療するため、ドナーから患者に骨髄などを提供する「骨髄移植」。移植することで助かる命も多い中、仕事の都合などでドナーが休みを取れず、移植できないことも課題となっている。日本骨髄バンクによると、ドナーが提供するため通院や入院する場合に休暇を認める「骨髄ドナー休暇」を導入している県内の企業・団体は3社のみで、県内の移植経験者らは制度への理解を呼びかけ続けている。

 骨髄ドナー休暇は、骨髄・末梢(まっしょう)血管細胞を提供するため通院や入院する際に休みを認める制度で、約30年以上前から各自治体などで導入が始まった。骨髄移植の経験者で、現在はボランティアとしてドナー登録のサポートや普及活動に取り組む矢祭町の青砥(あおと)安彦さん(65)は「ドナーが提供しやすい環境をさらに整えていく必要がある」と話し、制度の重要性を説明する。

 青砥さんはボランティア活動をする中、適合通知が2回来た会社員の男性が2回とも休暇が認められず、提供できなかった事例を聞き「がっかりした」と振り返る。日本骨髄バンクの担当者も「提供の意思があっても、休みを取ることができず移植ができなかった事例は多い」と課題を語る。

 青砥さんは40歳の時に白血病を発症し「『俺、死ぬんだ』と思っていた。ドナーに提供してもらった時はほっとしたと同時に、恩返しをしたいと思うようになった。助かる命を助けたい」と話し、制度の周知やドナー登録者を増やすために今後も取り組む考えだ。

 県内では今年3月、JA東西しらかわが骨髄ドナー休暇を新設した。菊池教夫組合長(65)は「仕事の都合でドナーが提供できないケースが多いと聞いた。ドナーが提供できる態勢を整え、社会貢献につなげたい」と導入のきっかけを話す。一方で「まだドナー適合者が現れず、休暇を認めた事例がない。個人情報のため、誰がドナー登録しているのか把握するのも難しい」と明かし、「登録には年齢制限があるため、若い職員などに積極的な登録を呼びかけたい」と語った。

 日本骨髄バンクによると、ドナー休暇制度を設けている企業・団体は全国で823社あり、このうち県内はJA東西しらかわも含めて3社のみだ。白血病などの患者で移植を希望している人は県内の18人を含め、国内に1652人(3月末現在)おり、移植経験者の青砥さんは「人ごとだと思わず、いろいろな事業所にこうした取り組みを認めてほしい」と願った。(伊藤大樹)

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 骨髄ドナー休暇 日本骨髄バンクによると、広島県が1992年に導入し、93年には国家公務員でも導入された。ドナー登録できるのは18歳以上、54歳以下の人のうち、体重が男性45キロ、女性40キロ以上の人など。献血ルームや保健所などの登録窓口で約2ミリリットルの採血を行い、白血球の型を調べ、15分ほどで登録することができる。適合者が見つかり、骨髄などを提供する場合、10日ほど検査や入院する必要がある。