震災関連死認定基準、県内初公表・南相馬 避難考慮、個別判断も

 

 南相馬市は、東日本大震災と東京電力福島第1原発事故による災害関連死(震災関連死)の認定基準を公表した。基準では震災から死亡までの期間に応じ、死亡と震災の関連性を推定する一方、原発事故に伴う避難の長期化などの実情を考慮し、個別に判断する必要性があることも明記した。県によると、災害関連死の認定基準の公表は県内で初めてとみられる。

 今年1月に公表した基準では、震災や原発事故により、医療機関や介護施設の機能が低下するなどし、その影響で疾病の悪化などによる死亡と定義。震災と死亡の間に相当因果関係が認められるものとした。診断書や治療記録などの客観的な資料に基づく医学的見地を重視し、医師らで構成する市災害弔慰金等支給審査委員会が判断している。

 具体的には、環境の変化の程度や死亡までの期間などを個別に判断している。期間については、震災から1カ月未満の死亡は「震災関連死であると推定」、1カ月以上1年6カ月未満の死亡は「震災関連死の可能性が高い」と規定。一方で、原発事故による市の状況などを考慮し、避難生活など環境の変化が継続していた場合は「関連性について個別に判断する必要がある」とした。

 市内では、県内で最も多い521人が震災関連死の認定を受けている。市は震災関連死の申請に期限を設けておらず、昨年も新たに1人を認定した。審査委はこれまで、新潟県中越地震の際に作られた同県長岡市の災害関連死基準「長岡基準」に基づき、南相馬市の実情を踏まえた基準を作り、運用してきた。

 南相馬市は基準を非公表にしていたが、震災から時間が経過して基準が確立されたことや、熊本地震や西日本豪雨などで県外の自治体が災害関連死の認定基準を明らかにしたことなどを踏まえて公表した。市の担当者は「長岡基準のようにほかの自治体の参考になれば」と話す。

 震災関連死の認定を受けると、直接死と同様に南相馬市災害弔慰金等支給条例に基づき、最大で500万円が支給される。条例は国の災害弔慰金支給法に基づくが、関連死の認定は発生した災害ごとに各市町村が行っており、国は災害関連死の認定基準を設定していない。

 市の担当者は「災害や自治体により状況が異なる難しさもある」としつつも、「ある程度統一した基準があれば」と話した。