今秋から防災人材育成、5市町で実施 東北大サイエンスパーク構想

 

 東北大が福島県で社会的価値創造を目指す「福島サイエンスパーク構想」の方向性が25日、判明した。南相馬、富岡、双葉、大熊、浪江の1市4町を中心に産業創出などを進め、住民帰還や交流人口拡大といった効果を広域に波及させる。秋には防災に関する新たな人材育成プログラムを開始する方向で関係自治体と調整している。早ければ2026年度にも浪江町に拠点を整備し、学生や研究者らの活動を展開する想定だ。

 湯上浩雄副学長・グリーン未来創造機構長が福島民友新聞社の取材に応じ、明らかにした。

 同大は昨年9月から今年2月に5市町と相次いで連携協定を結び、構想の本格始動に向けて準備を進めてきた。湯上氏は5市町に主眼を置く理由について「東北地方の大学として、福島復興は使命だ。5市町は東京電力福島第1原発事故の影響が特に大きく、復興をサポートしたい」と述べた。

 防災人材育成の新プログラムは国内外の学生らを対象に1回当たり20~30人の参加を見込む。5市町に一時滞在し、現地調査と聞き取りなどを通じ、自然災害への備えや被災地の再生に必要な視点を習得する。第1回は10月ごろ開催し、その後も継続的に実施する。

 同大がこうしたプログラムを本県で組むのは初めてとみられ、学修成果の認定方法などを検討している。

 浪江町に整備予定の新たな拠点は、水素などのエネルギーとまちづくりが主な研究分野になるという。当面は福島国際研究教育機構(エフレイ)の委託研究や学生・教職員の研修の場として活用し、徐々に企業との産学連携の機会を増やす方針。実験室や100人以上を収容できる会議室などを設ける方向で、立地先を検討する。

 将来的に福島・国際研究産業都市(イノベーション・コースト)構想と連携する意向も明かした。イノベ構想は廃炉やロボットなど重点6分野で企業ネットワークを構築しており、相乗効果を狙う。

 湯上氏は「若者らが活動をし、地域ににぎわいをつくることが第一歩。研究開発だけでなく、人材交流や産学連携を1市4町を軸に進める」と説明。「各自治体は状況が異なる一方、共通課題もある。広域的な話し合いを進めたい」とし、組織として浜通りの復興に貢献する考えを強調した。

 ■福島サイエンスパーク構想 東北大は2022年3月に県と包括連携協定を締結し、産学官の共創の場をつくる「サイエンスパーク構想」を浜通りにも展開する検討に入った。構想全体は4月、仙台市のキャンパスを中心に本格始動している。同大は国の多額支援を受ける「国際卓越研究大学」の認定候補に選ばれ、本県復興を柱の一つに据えている。