玉川に寄り添う「コミュニティナース」 健康づくりの担い手に

 
健康サロンで高齢者の血圧を測る黒木さん(左)。「元気な村づくりに貢献したい」と話す

 玉川村は本年度、地域住民と日常的に交流する人材を通じて健康的なまちづくりを目指す「コミュニティナース」の取り組みを始めた。看護師の資格を持つ村地域おこし協力隊員の黒木琴音(ことの)さん(26)=神奈川県出身=が担い手として地域に飛び込み、活動している。村によると、県内自治体による導入例は初めてとみられ、地域の健康づくりに向けた試みに注目が集まる。

 「153の93、いつもより数値が低いですね」。村北東部の四辻地区で5月に開かれた健康サロンで、黒木さんは地元高齢者の血圧を測っていた。測り終えると参加者と一緒に体操に励み、会話に花を咲かせた。参加した塩田末子さん(73)は「健康の知識がある人が近くにいて安心する。話をするだけでも楽しくて元気になる」と笑顔を見せる。

 コミュニティナースは住民と日常的に関わる人材を介し、地域全体の健康や暮らしやすさの向上につなげる考え方だ。特定の資格は必要なく、全国的にはボランティアや郵便局員が担う事例もある。コミュニティナースの人材育成などを手がける会社「CNC」(島根県雲南市)によると、黒木さんを含む1100人以上が同社の講座を修了しているという。

 相談室や講座も

 自ら地域に出て活動するのが大きな特徴で、相談室や健康講座を開いている例もある。日頃の交流から住民の健康状態に関する情報をつかみ、行政や関係機関と共有する重要な役割も持つ。須釜泰一村長は「住民と医療、福祉の橋渡し役として、行政の目の届かない部分を補ってほしい」と黒木さんに期待を寄せる。

 黒木さんは今年3月まで、東京都の医療機関で働き、新生児集中治療室(NICU)で早産児や低出生体重児を担当した。使命感の一方で、常に切迫した状況に身を置く環境に難しさを感じ、自分らしい働き方を考えた。

 そんな折、村がコミュニティナースとして協力隊員を募集していることを知った。看護師の経験を生かしながら地域の健康づくりに携われる活動が魅力的に映ったという。「地域の人に寄り添って悩みを聞ける身近な存在になりたい」と応募し、4月に着任した。

 現在は村保健センターを拠点に地域を巡り、ニーズの把握に努める。村民からは早速「認知症予防の教室を開いてほしい」などの要望が届いている。「経験や知識を生かして元気な村づくりに貢献したい」と黒木さんは目標を語った。(秋山敬祐)

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 コミュニティナース 島根県で2010年ごろに始まった取り組み。地域の健康維持や増進を目標に、住民と交流しながら行政や関係機関と連携して活動する人材やその考え方を指す。特定の資格は必要なく、看護師資格を持つ人や養成講座を受けた民間企業の職員らが全国で活動している。