【環境考察/気象の変化】夏場の湖...水温上昇 アオコ大量発生

 
水面が緑色に染まった三春ダム。アオコは主に夏場に発生する(梅田教授提供)

 昨夏、青い空を映し出すさくら湖(三春町、三春ダム)の水面が緑色に染まった。「アオコです」。三春ダム管理所専門官の中正(なかしょう)裕史(49)はその理由を説明した。

■臭いや水質悪化か

 アオコは植物プランクトンの増殖によって起きる現象で、主に夏場に発生する。人体に有害ではないとされるが、臭気を発し、水質が悪化する恐れがある。三春ダムで臭気が問題になったことはないものの、夏場になると毎年のようにアオコが発生しており、中正は「感覚的だが、昨年は特に多かった」と指摘する。
 アオコの影響を抑えるため、ダム湖の下にバイパス管を設置し、植物プランクトンの栄養源を多く含んだ流入水を湖に入れず、直接下流に流せるようにしたほか、水をかき混ぜて植物プランクトンを光の当たりにくい水中に沈めるなどの対策を講じてきた。「一定の効果はあったのではないか。今後も状況を注視していきたい」と中正は見据える。

■観光面への影響も

 「アオコの発生が増える一因に、地球温暖化の影響が考えられる」。三春ダムに長年関わり、気候変動による水質への影響などを研究している日大工学部教授の梅田信(51)は分析する。

 植物プランクトンは水温が高いほど増えやすい傾向にあり、温暖化の影響を受ける。梅田によると、アオコの発生による臭気などの「水質障害」は西日本で多く確認されてきたが、10年ほど前から東北でも見られるようになった。県内では2012年ごろから、東山ダム(会津若松市)で臭気が確認されているという。

 梅田は将来的に、西日本より東北や北海道で水質障害が増えると予測。「東北や北海道の水温は西日本より低いが、温暖化によって(水温が)上昇することで、アオコが増える可能性が高まる」と語る。

 アオコは水道水のカビ臭の原因となる。各地でダムを観光資源とする動きが進む中、湖面が緑色に染まり、景観が損なわれれば観光への影響が懸念される。アオコ発生の一因と考えられる温暖化が、湖や川などの水質に「影響がない」とは言い切れない。梅田は「今後、より顕在化すると考えられる温暖化にどう適応していくかが重要だ。温暖化に対する『適応策』により、アオコの発生とそれに伴う水質障害を抑制できる可能性はある」と対策の必要性を訴えた。(文中敬称略)

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 アオコ 植物プランクトンが湖沼や池などで大量に発生して水面が緑色になる現象。洗剤などに含まれるチッ素やリンが多い富栄養化状態の湖沼や池などで大量に発生する。水温が高い夏場に増殖するとされ、腐敗による悪臭が発生したりする。