3町村、出生数ゼロか 24年度見通し、北塩原で初、三島、檜枝岐

 
母子手帳を交付する北塩原村子育て世代包括支援センター。職員からは「本年度から出産、子育て支援を強化したが、制度を活用する妊婦がいない」との声が聞かれた

 北塩原、三島、檜枝岐の会津地方の3町村で本年度、子どもが一人も生まれない「出生数ゼロ」になる可能性があることが4日、各町村への取材で分かった。独自の子育て支援策を講じながらも、著しい少子化の現状が明らかとなった3町村。住民らの危機感が強まる中、専門家は「小規模自治体に、全ての責任を押し付けるような議論になってしまうのはまずい」と警鐘を鳴らし、国による支援を明確にする必要性を挙げた。

 住民危機感「若者働く場を」

 出生数ゼロとなれば北塩原村が村誕生の1954年以降初めて。三島町は2022年度以来の2年ぶり、檜枝岐村は18年度以来の6年ぶりとなる見通しだ。

 このうち北塩原村では、昨年7月に3件の妊娠届の提出があったのを最後に4日現在、届け出はないという。村によると、一般的な妊娠期間とされる「280日間」を基準にすると、8月ごろまでに妊娠届の提出がなく、本年度中の出産を予定している妊婦の転入もなかった場合などにゼロになるという。

 村の過去10年間の出生数は14~20年度は11~23人と2桁台を推移していたが、21年度以降は8人、2人、6人と1桁台に落ち込んでいる。村の担当者によると、新型コロナウイルスの感染拡大を背景とした婚姻数の減少や、進学や就職を機に若者が首都圏に流出していることなどが要因に挙げられるという。

 村の危機的な状況に村民からは不安の声が聞かれた。9歳と6歳の子どもを持つ団体職員の遠藤正志さん(41)は「若い世代が減っているのは目に見えていたが、ついに出生数ゼロの可能性まで出てきたか」と衝撃を受ける。

 他県から村に移住し、出産、子育てを経験したペンション経営の鈴木由利子さん(62)は「村政だけでなく、村民一丸となり若い世代を増やす努力をしなければならない。若者が働く環境を整えるべきだ」と語った。

 遠藤和夫村長は「大変厳しい状況として受け止めている。村民の声を直接聞く機会を設け、村民、議会とともにこの難局を乗り越えたい」とコメントした。

 三島町でも4日時点で母子手帳の交付はなく、転入などがなければ、本年度の出生数はゼロとなる見込みだ。町の担当者は「深刻な問題だ。若い世代の移住、定住促進をどのように進めないといけないのか考えているところだ」と吐露した。

 檜枝岐村の担当者も厳しい現状について「少子化に即効性のある施策は難しい。現状の子育て支援策の広報を充実させながら、新規事業も検討し、出生数の増加につなげるだけだ」と表情を引き締めた。

 魅力創出、厳しい自治体財政

 福島大行政政策学類教授で、県総合計画審議会長を務める岩崎由美子氏は「4~5年ほど前から出生数ゼロの小規模自治体は出ており、県内でもいずれ出ることは予測できた」と指摘する。その上で「例えば小規模自治体ならではの魅力的な教育プログラムをつくるなどの創意工夫は必要だ。ただ、そうした努力をしても、小規模自治体の厳しい財政状況の中では限りがある。自治体にばかり責任を押し付けられても困るという面はある」と話す。

 少子化問題に向き合う国の姿勢ついて、岩崎氏は「小規模自治体への支援も含め、国として問題解決のために何をするつもりなのかを見えるものにしなくてはいけない」と提起した。