葛尾ほっと一息...空き家再生、交流カフェに 移住女性が開店へ

 
(写真上)葛尾村にカフェ「いること」を開店させる大山さん、(写真下)空き家を改装したカフェの外観

 福島県葛尾村の野川地区に7月1日、カフェ「いること」がオープンする。営業するのは茨城県から移住した大山里奈さん(40)で、村民から借りた木造平屋の空き家を改装し、人々の交流を育む店に生まれ変わらせた。大山さんは「人と人が交わったり、くつろいだりできる場所にしたい」と笑顔を見せる。

 大山さんは京都芸術大を卒業して同大大学院を修了後、茨城県の学校で美術教員を8年務めた。芸術家として現代美術の活動を続ける中、2021年に知人の紹介で葛尾村に出合い、移住した。村による地域資源の魅力を活用したアーティスト移住促進事業の委託を受ける一般社団法人葛力創造舎の社員となり、全国のアーティストと村をつなぐ仕事を手がけている。

 雄大な自然に囲まれた葛尾の雰囲気は、大山さんの肌に合った。「何にもない所かもしれないけど、人間らしい豊かな暮らしがここにはある」。村内で住居を探している時、農具の物置場と化した空き家を発見した。どうせならば「空き家を再生して、人々が交流できる場をつくろう」と昨年に改装した。

 店では、おいなりさんやサラダなどを盛り付けたランチプレート、コーヒー、バナナケーキやあんみつなどのスイーツを提供する。店名の「いること」には、葛尾にいること、それ自体が大切であることを伝えようとの思いを込めた。原発事故による全村避難で一度は壊れてしまった村だが、人々の暮らしが再開する中、人と自然が再びバランスを取り戻す姿に美しさを感じている。葛尾を訪れた若者が「何かをしなきゃいけない」と焦る姿を見たこともある。大山さんはそんな若者に「ここにいることを楽しんでほしい」とメッセージを送る。(渡辺晃平)

 ■カフェ「いること」 営業は日、月曜日のみで、時間は午前11時半~午後4時。住所は葛尾村野川字中島256の1。問い合わせは同店(メールilucoto@gmail.com)へ。

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  避難解除8年、居住率3割

 葛尾村は12日、東京電力福島第1原発事故に伴う全村避難を経て、村の大部分の避難指示が解除されてから8年を迎える。野行(のゆき)地区の特定復興再生拠点区域(復興拠点)の避難指示解除から2年の節目となる。

 震災当時は約1500人が住んでいたが、6月1日現在で464人が暮らす。居住率は震災後、3割程度で推移している。基幹の農畜産業の施設整備、企業誘致による産業と雇用の創出が進んだ一方、課題の住環境は本年度から整備が始まっている。