【1位】只見線11年ぶり全線再開 住民ら歓迎、奥会津に光

11年ぶりに全線再開を果たしたJR只見線。車両が到着すると住民らが小旗を振って出迎えた=10月1日午後2時20分ごろ、只見町・只見駅
福島民友新聞社の読者が選んだ「2022県内十大ニュース」は、11年ぶりに全線での運行を再開したJR只見線の話題が1位となった。県内十大ニュースを通して1年を振り返る。
◇
2011(平成23)年7月の新潟・福島豪雨で甚大な被害を受けたJR只見線は10月1日、不通となっていた会津川口―只見間(27.6キロ)を列車が走り、11年ぶりに全線での運行を再開した。再開通を待ちわびた地元住民が駅や沿線で横断幕を掲げたり、手や小旗を振ったりして乗客や鉄道ファンを歓迎した。
会津川口―只見駅間では豪雨で三つの橋梁(きょうりょう)が流失するなど被害を受けた。膨大な復旧費用が見込まれ、全国屈指の赤字路線という現実の中で再開に向けてたどり着いた道筋は、JR東日本が車両運行を担い、線路や駅などの鉄道施設は県が保有する「上下分離方式」による再開だった。地元の会津17市町村も運営費を負担し、路線を地域で支える体制整備を進めてきた。
再開通後は、紅葉の時期なども重なり全国から人が訪れ、只見線の盛況が続く。混雑で乗客が座れない状況も発生し、JR東が土、日曜日と祝日に増便したほどだ。再び一本に結ばれた鉄路が、奥会津の明るい未来を築いていく。