原発再稼働、9党の政策比較 第2原発廃炉は民進、共産が明記

 

 県や県議会が「県民の総意」として廃炉を求めている東京電力福島第2原発は、東日本大震災から5年が経過しても存廃の方針が定まっていない。同原発の方向性に深く関わるのは各政党の原発再稼働へのスタンスだ。政党要件を満たしている9党の政策を比較すると、民進党と共産党が第2原発の廃炉を明記している以外、目立った記述はなかった。

 比較にはローカルマニフェストなどは考慮せず、各党が全国共通で主張する政策資料を対象とした。

 原子力規制委員会が定めた新規制基準に合致した原発の再稼働を認めるとしたのは、原子力発電のエネルギー政策への位置付けや最終的な方向性、避難計画への国の関与などで各党に温度差はあるものの、自民党、民進党、公明党、日本のこころを大切にする党の4党だった。原則として原発再稼働を認めず「脱原発」や「原発ゼロ」を主張しているのは共産党、社民党、生活の党と山本太郎となかまたち、新党改革の4党だった。

 原発の代替エネルギーとして再生可能エネルギーを主張する党が多いが、新党改革は、エネファーム(家庭用水素燃料電池)の普及などによるエネルギーの自給自足の社会を志向している。

 おおさか維新の会は、規制基準への適合以外にも、原子力賠償制度の確立や地元同意の法定化、使用済み核燃料の最終処分までを求めた「原発再稼働責任法」の制定が不可欠と主張している。

 第2原発の廃炉を明言したのは民進党と共産党だったが、原子力やエネルギー政策について議論した項目ではなく、東日本大震災からの復興についてまとめた部分で言及している。

 参院選後の国会論戦で第2原発の存廃は、エネルギー政策の中で議論されるのか、それとも復興政策の中で議論されるのか。あるいは本県の声は無視され、放置されるのか各党の動きが注目される。 

 【原発再稼働への各党の主張】
 自民党:新規制基準に適合すると認められた場合、立地自治体など関係者の理解と協力を得つつ再稼働を進める
 民進党:安全確認を得ていないものは再稼働しない原則を徹底。責任ある避難計画がなければ再稼働すべきでない
 公明党:規制委員会の厳格な規制基準を満たした上で、立地自治体など関係者の理解を得て判断する
 共産党:「原発ゼロ」の政治決断を行い、原発の再稼働を中止し、全ての原発で廃炉のプロセスに入る
 おおさか維新:避難計画策定への国の関与、地元同意の法定化などを内容とする「原発再稼働責任法」の制定が不可欠
 社民党:原発の新増設は全て白紙撤回し、既存原発の再稼働に反対する
 生活の党:脱原発。原発の再稼働には反対
 日本のこころ:安全性が確認された原発は再稼働する
 新党改革:原発再稼働や新増設、輸出は行うべきでない。政府与党に脱原発・原発ゼロに向けて政策転換するよう求める