荒井広幸氏、安倍首相に『五つの遺言』 脱原発実現など要望

 
官邸への要望後の会見で「政府は国民の声を聞くべき」と熱弁をふるう荒井氏

 参院選での落選を受け政界引退を表明している新党改革の荒井広幸代表(参院比例)は、参院議員としての任期満了日の25日、官邸に安倍晋三首相を訪問し、脱原発の実現など5項目の政策実現を要望した。要望後に会見した荒井氏は「政界引退するという意味では遺言書を渡した気持ち」と心境を語った。

 要望では、東京電力福島第1原発事故を踏まえ、原発に依存しない社会づくりを訴えたほか、安全保障法制に関連して自衛隊を海外派遣する場合の(1)国会の事前承認(2)中間的な検証(3)終了後の結果評価の制度の確立―などを求めた。荒井氏と安倍首相は1993年衆院選初当選の「当選同期」で、荒井氏が郵政問題で自民党を離党した後も親しい関係が続いていた。荒井氏によると「うなずきながら聞いていたが、明確な返答はなかった」という。

 また、荒井氏は衆参両院で与党が多数を占め「安倍1強」とされる状況に「政府も国会も分断や対立よりも解決策を提示することが必要。そのためには国民に目と耳を傾けながら、押し付けではなく十分に議論を重ね、慎重に物事を進めるべきだ」と指摘した。

 荒井氏は今後、特に原発事故からの復興や廃炉作業などの社会的課題を解決するために東京都に事務所を設け、政治家の立場ではない形で政策提言する形を模索している。