【参院選・最前線ルポ】会津 若者も政策注視!少子高齢化深刻

 

 「誰に投票したらいいのか正直分からない。自分の目で見て、耳で聞いて1票を投じたい」。女性候補2人は大票田の中通りを中心に序盤戦の遊説を展開、会津入りしたのは公示日の数時間だけだ。県立テクノアカデミー会津1年の長沢七海(18)=喜多方市=は8日、同校教員から投票を呼び掛けられたが、候補者らから公約などを直接耳にしていない。

 会津17市町村の推計人口(3月1日現在)は26万5099人で、10年前の2009年から約3万4000人減少、県内でも少子高齢化が深刻だ。ただ「18歳選挙権」が国政選挙で初めて適用された16年の前回参院選から3年がたち、10代の有権者への注目がやや薄れてきている中、人口減による地域の衰退と向き合う若者も出てきた。

 長沢もその一人。「福島のことをもっと知って将来は地域の役に立ちたい」と同校に進学。進学や就職で地元を離れた同級生を思い浮かべることもあるが、県産米をPRする県のキャンペーンクルーにも選ばれ、魅力発信に意欲を見せる。

 普段、会津の観光を学ぶ中、店舗の廃業など厳しい現実を目の当たりにしてきた。しかし暗いことばかりではない。福島空港と台湾の桃園国際空港を往復する定期チャーター便の運航が4月に始まり、台湾からの観光客が増えた影響で地域が活気づいたとの印象を持つ。

 会津ではIターンで移住した人材の活躍も期待される。長野県出身で喜多方市高郷町の地域おこし協力隊を務める石島来太(28)は年配者が多く「イベントをやる人手も足りない」と苦労を明かすが、「時間がゆっくり流れていて居心地が良い」と魅力を語る。

 近年、豊かな自然など都市とは異なる地方の魅力を感じる人が増え、総務省の有識者懇談会は負のイメージがある「過疎」の代替用語を検討する方針だ。石島は国の動向に関心を寄せながら言った。「地域の価値は自分たちで創るものだが、人口が減少する地域にも目を向けてほしい」

 経済政策訴える

 森雅子と水野さち子は4日、いずれも会津若松市の神明通りで演説した。

 最初に街頭に立った、いわき市出身の森は「初日から会津に来た。自公政権で地域経済は活性化し、神明通りにもにぎわいが生まれている」と力を込めた。

 一方、地元出身の水野は現政権の経済政策を批判。「アベノミクスの潤いはなく地方は疲弊している。地元の中小企業を支えることが重要だ」と訴えた。
(文中敬称略)