【参院選・最前線ルポ】中通り 経済政策期待!経営者の支援を

 

 商都・郡山市の中心市街地で寝具小売業「丸栄ふとん店」を営む片田尚子(61)は、人通りが少ない店の外を横目に作業を進める。「みんなが後ろ向きにならず、前向きになれるような支援があれば地域経済は良くなるはず」。地方が盛り上がるような経済政策を期待しているが、「(候補者は)庶民の暮らしが見えているのかな」と疑問に思うこともある。

 同店は創業101年の老舗。綿の品質にこだわったガーゼタオルや東京五輪・パラリンピック「伝統工芸品コレクション」の会津木綿ストールなどを販売する。片田は販売展開のアイデアを練ることが好きなだけに、経済活性化には「挑戦する人を応援するような制度を」と求める。ただ県民の生活を真摯(しんし)に考えてくれるような候補者の訴えは届かず、政治が遠く感じられるという。

 公示後、最初の日曜日となった7日に郡山市に入った森雅子と水野さち子の両候補は、近くで開かれていたイベントへの配慮からJR郡山駅前周辺で街頭演説を行わず、有権者と握手を交わして練り歩いた。片田は両候補の経済政策を見極め「より市民に近い考えの候補者に注目していきたい」と考えている。

 景気変化を肌で

 長年、商都の経済状況を見てきた別の経営者も景気の移り変わりを肌で感じ取っている。化粧品などを販売する「さわや」の社長遠藤健一郎(53)は「(景気が良かった時代の)親の姿を見て店を継いだが、自分の時はバブルが終わり、いい時代は終わっていた」と振り返る。

 遠藤は人手不足や10月に控える消費増税で消費力が一時的に下がることを懸念しながら、「消費はいずれ戻ってくる。経済活性化に向けた施策も大事だが、経営者の努力も大切だと思う」と前を向く。

 選挙戦序盤、森、水野はともに有権者の多い中通りで遊説の大半の時間を費やした。

 森は「復興の先の未来をつくっていくのが政治家の責任。災害を乗り越えたからこそ、『防災産業』も一つのアイデアだ」と新産業の創出を訴えた。

 水野は「これだけ地方が疲弊し、経済が落ち込んでいる時にポイント還元などと言いながら消費税を上げるべきではない」と現政権の手法を批判した。(文中敬称略)