福島選挙区、「経験」対「組織」の構図 参院任期満了まで3カ月

 

 今夏の参院選で改選を迎える議員の任期満了まで、25日で3カ月となる。福島選挙区(改選数1)には現新4人が立候補を表明している。4選を目指す現職が無所属での出馬となった一方、新人3人は各党の支援を受けて臨む。7月10日投開票が有力視される中、「経験」の現職と「組織」の新人による激戦となりそうだ。(文中敬称略)

立候補予定者(右から)増子輝彦氏、星北斗氏、小野寺彰子氏、皆川真紀子氏

 後援会中心の戦い

 「『政党組織』対『無所属』の構図ができている。県民の選択肢が広がったと理解してほしい」。福島市で8日に開かれた現職増子輝彦(74)の出馬会見。6年前は野党統一候補として3選を果たしたが、2020年10月に自民党と無所属の議員でつくる参院会派「自民党・国民の声」に入会、その後は与党の立場で活動してきた。無所属での立候補表明後の15日に退会し、参院選に向けて一定の「けじめ」をつけた形だ。

 政党組織の後ろ盾のない今回は、県内全域に張り巡らせた後援会を中心に支持を広げていく考えだ。「組織はあってないような、なくてあるようなもの。今まで培ってきた『増子党』を中心に活動していく」と増子。県議、衆院議員も務めたが、いずれも最初の選挙は無所属での出馬だっただけに「無所属が当選できないことはない。政治生活40年の取り組みの審判を受けたい」と力を込める。

 保守一本化が実現

 昨年12月にいち早く立候補を表明した自民党公認の新人星北斗(58)=県医師会副会長。党県連が郡山市で17日に開いた政経セミナーで「さまざまな課題を政治の力で変えていく必要がある。その原動力の一人になりたい」と改めて決意を語った。大型連休中に県内22の総支部単位で50~100人規模のミニ集会を開き、実質3巡目となる県内訪問で知名度向上を図る。

 陣営は約140の支援・友好団体とともに徹底した組織戦を敷く構えだ。6年前に自民公認で出馬した元職の比例出馬が決まったことで、各支部が強く求めていた保守一本化もかない、県連幹事長の西山尚利は「フル回転できる環境が整った」。連休明けには公明党県本部との選挙協力に向けた協議も本格化する見通しだ。その上で、西山は現新3人の地盤が重なる郡山市が結果を左右するとみる。「地元で1番になることが、大きな鍵になる」

 事実上の野党統一

 「一人一人が感じていることを受け止め、思いと心を届ける仕事をする」。無所属で立候補する新人のフリーアナウンサー小野寺彰子(43)は16日、郡山市で行った現地事務所開きで誓いを立てた。出馬表明以降、県内を巡る街頭活動を行うが、事務所開きに出席した県議の一人はやはり「郡山市が激戦区中の激戦区」と想定する。

 小野寺は、立憲民主、社民、国民民主の各党県連、県議会会派の県民連合、連合福島で構成する5者協議会と政策協定を締結した。中心的役割を果たした立民県連幹事長の高橋秀樹は「構成組織の支援体制を固め、選挙戦に備えたい」と体制構築を急ぐ。

 共産党を含めた「野党共闘」について、高橋は「党本部の動きを注視しながら検討する」と慎重姿勢を崩さないが、共産は擁立を見送る方針。小野寺は、事実上の野党統一候補として選挙戦に挑む。

 N党の新人も参戦

 このほか、NHK受信料を支払わない国民を守る党新人の元山形県米沢市議皆川真紀子(52)が立候補を表明している。