【参院選・直前情勢(上)】福島選挙区/復興・物価対策に力点

 

 議席確保へ総力戦

 「この地域の勝利が自民党全体の勝利と、安定的な政策の遂行につながる」。福島選挙区に元県医師会副会長の星北斗氏(58)=公明党推薦=を公認候補として擁立する自民党。梶山弘志幹事長代行は18日、党県連と支援友好団体が福島市で開いた選対会議で、6年前に失った議席の確保を強く意識し、声を張った。

 会議では、本県復興や物価・原油高対策、新型コロナウイルス禍からの経済再生、相次ぐ自然災害への対応など喫緊の課題に「政治の安定」をもって臨むべきだとの声が相次いだ。渡辺博美日本商工連盟福島地区代表世話人も「各業界が本当に大変な状況だ。力を合わせて政治の安定を維持しなければ」と訴えた。

 143の支援友好団体からなる選対は、県連が団体との連携を強めるため6年前に確立し、「政策フォーラム」として常設化した。新型コロナ対策や復興加速化など11項目を柱とする県連公約にも各団体の声が反映されており、根本匠県連会長は「総力を結集して臨む」と力を込める。

 生活者目線を強調

 「政治は生活。暮らしの声に耳を傾けてきたからこそ、暮らしの声から政治を変える」。18日に公約や政策の方向性を発表した、福島選挙区に出馬する無所属の小野寺彰子氏(43)=立憲民主党、国民民主党、社民党推薦=は、フリーアナウンサーらしいよどみない口調で報道陣を前にこう強調した。陣営は「生活者目線」で練り上げた公約を保守層、女性、若者などに広く伝え、支持の拡大を急ぐ構えだ。

 公約には収入の安定化による物価高対策など3本の柱を据えた一方、小野寺氏は「帰還困難区域全ての地域の除染、家屋の解体」「風評の発生を前提とした処理水放出計画には賛成できない」などと自らの思いを吐露。本県復興に向けて自民党政権が進める政策との方向性の違いを強調した。

 公約発表に先立ち選対会議も開催。「県民党」を掲げる陣営の高橋秀樹立民県連幹事長は「組織力で勝る自民に先行を許しているが、生活者目線の政策を浸透させれば支持が落ちることはない」と勝機を見いだす。

 立候補予定は5人

 福島選挙区にはこのほか、NHK党公認の元山形県米沢市議皆川真紀子氏(52)、政治団体「参政党」公認の会社社長窪山紗和子氏(47)、無所属の元養護教諭佐藤早苗氏(62)が立候補を予定している。

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 22日公示、7月10日投開票で行われる参院選の公示が目前に迫る。星氏と小野寺氏による事実上の一騎打ちとなる福島選挙区(改選数1)と、本県を拠点に4人が立候補を予定する比例代表の情勢を探る。