【参院選・福島選挙区候補者アンケート(下)】復興への道筋回答
参院選福島選挙区に立候補した5人に対する福島民友新聞社のアンケートでは、東日本大震災、東京電力福島第1原発事故から11年余りが過ぎても道半ばにある本県の復興に向けた考えについても聞いた。NHK党公認の元山形県米沢市議皆川真紀子(52)、無所属のフリーアナウンサー小野寺彰子(43)=立憲民主党、国民民主党、社民党推薦、政治団体「参政党」公認の会社社長窪山紗和子(47)、無所属の元養護教諭佐藤早苗(62)、自民党公認の元県医師会副会長星北斗(58)=公明党推薦=の5候補が回答した。
海洋放出賛成なし
【処理水】東京電力福島第1原発で発生する処理水を巡る政府の海洋放出方針についての設問では、窪山、佐藤の両候補が「反対」、皆川、小野寺、星の3候補は「どちらとも言えない」と回答し、「賛成」とする候補はいなかった。
小野寺候補は「対応が必要であることは理解している」とした上で「国内外の理解が広まっていない現状での海洋放出は新たな風評が生じる可能性が極めて高い」、星候補は「本県だけでなく、わが国の最重要課題の一つ。国が前面に立って丁寧な説明と国際社会の協力を得ながら科学的知見に基づく正しい情報を発信すべきだ」とした。
皆川候補は「トリチウムが完全に除去できない水は科学的に安全ではない」、窪山候補は「風評は当然出る。福島の人々の意見は反映していない」、佐藤候補は「トリチウムを分離させるプラントを造るべきだ」とそれぞれ指摘した。
3候補「風評対策」
【復興加速への重要事項】復興をさらに加速させるための重要事項について、星候補は「産業振興、風評対策、人口問題」、小野寺候補は「創造的復興」を挙げた。
星候補は「次世代が強く支えるようにならないと(復興が)完成しない」、小野寺候補は「医療と再生可能エネルギー分野の最先進地域にし、世界に誇れる郷土を残したい」とし、それぞれ将来を見据えながら施策を展開していく必要性を指摘した。
皆川候補は「廃炉」、窪山候補は「廃炉、産業振興、風評対策」、佐藤候補は「風評対策」とした。
「どちらとも言えない」最多
【原発ゼロ】皆川候補は「賛成」、小野寺、窪山、星の3候補は「どちらとも言えない」、佐藤候補は「その他」を選んだ。
星候補は「エネルギーの安定供給のためにはあらゆる資源を最大限に活用する必要がある」、小野寺候補は「エネルギーをもたらす一方でコントロールが難しく、自然災害によるリスクも高い」とそれぞれ理由を挙げた。
皆川候補は「人類と核は共存できない」、窪山候補は「慎重な議論が必要」と指摘。佐藤候補は「商業用原発は廃止し、研究用原発は残す」と主張した。
与党候補70点、他4候補50点
【復興施策の評価】これまでの復興施策に対する評価について、星候補は「70点」、皆川、小野寺、窪山、佐藤の4候補はいずれも「50点」とした。
星候補は「真の復興は道半ばで、風評・風化の問題と心の復興とともに、人口問題や教育問題など、まだやるべきことがある」とし、小野寺候補は「処理水を含めた廃炉分野や風評対策などの課題には道筋がついておらず、さらなる取り組みが必要」と指摘した。
皆川候補は「東京五輪の予算を復興予算に回せなかったのか」と疑問を呈し、窪山候補は「声なき声が年々、消されている」、佐藤候補は「汚染水にトリチウム以外の核種が入っていないように見せかけている」とした。
2候補が「評価する」
【イノベ構想】福島国際研究教育機構の整備をはじめとする福島・国際研究産業都市(イノベーション・コースト)構想に対する評価について、佐藤、星両候補は「評価する」、皆川、小野寺両候補は「どちらとも言えない」とした。
星候補は評価する理由について「エネルギー・環境・リサイクルについて、経済と環境の好循環が期待される」とした。小野寺候補は機構について「世界トップレベルの研究者をリーダーに迎えられるかが最大のポイント」と指摘した。
窪山候補は「まだ、よく理解できていないので回答を控える」とした。
「若者の定着」「事業承継支援」
【人口減少】アンケートでは、本県をはじめとする地方で続く人口減少問題についても聞いた。自由回答で、各候補に考えを尋ねた。
星候補は「それぞれの地域が持つ特性や利点を活用して産業の振興を図り、若者の定着を目指す」とし、小野寺候補は「事業承継の支援やデジタルの活用などで仕事や生活を支える仕組みが必要」とした。
皆川候補は「減少する前提であらゆるものを縮小する」、窪山候補も「減少しても大丈夫だという方法や道筋をつくる」と人口減少を念頭に置いた政策が必要と提案。佐藤候補は地域の子どもの確保のため「学校は閉校せず分校とし、児童生徒が歩いて通える環境を保障する」とした。
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