働きたい女性、活躍を 参院選、「子育て中も安心」な制度が必要

 
仕事と子育ての両立について同僚と話す今川さん(左)

 少子高齢化が進んで労働力人口が減る中で、女性の社会進出の機会が増えている。同時に、仕事と育児の両立に悩む女性の姿も目立つようになった。「活躍したくてもできない」。苦しさを抱える県内の女性からは、安心して働くことができる社会環境を実現するための施策を求める声が上がる。

 「子育てをしながら働くことに勇気が出なかった」。郡山市の今川英理香さん(31)は、第1子を出産した約5年前を振り返る。

 妊娠を機に、勤めていた会社を退職。出産後、再び働こうと考えたが、長女が待機児童になったり、子育てしながら働ける職業の少なさを感じたことなどから一歩を踏み出せずにいたという。その後、やっとの思いで市内のウェブ制作会社に就職。子どもの預け先も見つかり、現在は1日5時間、週5日勤務しながら、5歳の娘と2歳の息子を育てている。

 仕事と家庭を両立できるようになった今も、悩みは尽きない。今川さんは、夫の社会保険の扶養から外れないようにと、仕事を制限している。もっと働きたいと思っても、「(扶養から外れて)保険料を支払うことになれば、手元に残るお金はわずか。働く意味もなくなってしまう」と吐露する。

 政府は6月、女性活躍推進策をまとめた重点方針(女性版骨太の方針)を決定した。税制の在り方などについて検討する方針を示し、テレワークの定着など、男女ともに生きやすい環境づくりを掲げている。今川さんが勤務する会社もテレワークを導入しているが、「子育てに理解を示してくれる職場ばかりではない。子育て中の親が働きやすくなる制度が社会全体に必要だ」と意見を述べる。

 総務省の就業構造基本調査などによると、本県女性の離職者のうち、出産や育児を理由に離職した割合は2017(平成29)年の調査では7.9%で、5年前より0.2ポイント増加している。女性の雇用形態を見ると「正規」の割合は46.9%で5年前より0.6ポイント減少し、男性の79.2%と比べ大幅に低い水準にとどまっている。

 働き手の減少が大きな打撃となる雇用側からは、女性の社会進出を望む声が上がる。相馬市尾浜の保育園園長の和田信寿さん(63)は「かつては、3歳までは母親が子育てするべきという『3歳児神話』という言葉があったが、今はどう考えても人手が足りない。働きたい人には、どんどん働いてもらわないといけない」と話す。

 園の職員は園長含め35人で、うち女性が33人。結婚、出産を経験しながら仕事を継続できる環境づくりは園にとって重要な課題で、午前7時~午後7時の開園時間の間、勤務時間を各職員の都合に応じて設定できる制度を導入。子どもの成長に合わせて変化する「自宅にいたい時間帯」を優先できるようにした。

 和田さんは「女性が仕事を続けるためには、職場で融通を利かせることが大切」と話し、こう強調した。「安心して子育てができるような社会にならないと、女性活躍の実現は難しい」