参院選、街頭演説一変 警戒徹底、荷物検査「先週と違う」聴衆驚き

 

 参院選は9日、選挙戦最終日を迎えた。前日に安倍晋三元首相が銃撃され死亡した事態を受け、県内などで行われた与野党党首の街頭演説会場では、警察当局が厳戒態勢で警備に臨んだ。会場は張り詰めた空気に包まれ、聴衆はこれまでとは一変した雰囲気に戸惑いながら主張に耳を傾けた。

 立憲民主党の泉健太代表が党推薦候補応援のために訪れた福島市のJR福島駅近くの広場では、多くのスーツ姿の警察関係者が周囲の警戒に当たった。陣営関係者によると、会場には通常の2倍を超える人員が配置されたといい、演説が始まる1時間前から周辺の安全確認が行われていたという。荷物を抱えた人物に声をかけてかばんの中身を確認したり、道路の反対側や周辺のビルの上階からも目を光らせた。

 有権者が演説を聞く範囲もロープで区切って制限するなど、安全が徹底された。福島市の安藤忠光さん(77)は「先週も同じ場所で演説を聞いたが、全く違う雰囲気で驚いた」。同市の会社員鈴木薫さん(42)は「事件はショックだったけど、選挙運動を続けることは大事だと思う」と話した。