託された「福島の星」 参院選福島選挙区、「安倍元首相の志継ぐ」

 
銃撃事件で死亡した安倍元首相のため書きが掲げられた選挙事務所で、初当選の決意を述べる星さん(右)。左は妻の享子さん=10日午後8時17分、福島市

 10日投開票の参院選福島選挙区で初当選を飾った自民新人の星北斗さん(58)は安倍晋三元首相が死亡した銃撃事件を受けて万歳などを見送り、静かに喜びをかみしめた。

 午後8時の投票終了と同時に「当選確実」の報が届いた。割れんばかりの拍手の中、深々と頭を下げながら福島市の選挙事務所に現れた星北斗さんは「本当に、本当に皆さんのおかげで戦い抜き、勝つことができた。感謝と責任で胸がいっぱいです」と涙をにじませた。

 県医師会副会長や県民健康調査検討委員会座長として、震災復興や子どもの健康、新型コロナウイルス対策に尽くしてきた。昨年12月に「ふくしまの命を守る」を掲げて立候補を決意してから200日余り。県内をくまなく回って、県民の声を聞いた。「驚きと感謝の毎日だった。一人一人の願いをかなえるため、精いっぱい仕事をさせていただきたいという思いが日増しに強くなった」という。

 選挙戦の終盤には、本県復興にも尽くしてきた安倍晋三元首相が凶弾に倒れる事件が起きた。星さんはその3日前、田村市と小野町で応援演説に駆け付けた安倍元首相本人から「福島の星になれ、星の光で未来の子どもたちを輝かせてくれ」と言葉をかけられたという。

 事務所に集まった支持者らは元首相を悼んで黙とうをささげた。勝利宣言に立った根本匠総合選対本部長も「盟友が凶弾に倒れた悲しみを乗り越えての選挙戦だった」と声を詰まらせ、涙をこぼした。

 万歳三唱も行わず、星さんは喪章を胸にこう決意を語った。「福島復興は道半ば。安倍元首相の志を引き継ぎ、皆さんと一緒に復興を成し遂げていく」