参院選福島選挙区、自民・星北斗氏が初当選 小野寺彰子氏らを破る
第26回参院選は10日、投開票された。自民党は改選55議席を上回り、単独で改選過半数(63議席)を確保し、大勝した。与党で75議席以上に達した。焦点の改選1人区は自民が28勝4敗と野党を圧倒。憲法改正に前向きな「改憲勢力」は国会発議に必要な3分の2以上の議席を維持した。改選23議席の立憲民主党は20を割り、後退。公明党は横ばい。日本維新の会は改選6議席から10台に乗せた。共産党、国民民主党は議席を減らした。れいわ新選組、社民党、NHK党、諸派の参政党は議席を得た。
新人5人が立候補した福島選挙区(改選数1)は、自民党公認の元県医師会副会長星北斗氏(58)=公明党推薦=が41万9701票を獲得、与野党一騎打ちの様相を呈した選挙戦を制し、初当選を飾った。2019年の前回も自民現職が3選を果たしており、県内の参院2議席を自民が独占した。
事実上の野党統一候補として挑んだ無所属のフリーアナウンサー小野寺彰子氏(43)=立憲民主党、国民民主党、社民党推薦=は32万151票にとどまった。
福島選挙区には両氏のほか、新人3人が立候補。無所属の元養護教諭佐藤早苗氏(62)は3万913票、政治団体「参政党」公認の会社社長窪山紗和子氏(47)は2万3027票、NHK党公認の元山形県米沢市議皆川真紀子氏(52)は1万9829票だった。
徹底組織戦が奏功
応援演説中の安倍晋三元首相が凶弾に倒れる異例の最終盤となった中、福島選挙区は組織力に勝る自民が擁立した星氏が制した。自民としては6年前に失った改選議席を奪還した形だ。
自民は昨年12月に星氏の擁立を決めると、143に及ぶ支援・友好団体とともに徹底した組織戦を展開した。岸田文雄首相が福島市で第一声を放ったほか、安倍氏をはじめ大物弁士が続々と本県入りするなど強力に支援した。星氏は地域医療の充実などに加えて自公政権による「国民生活の安定」の必要性などを訴え、支持を広げた。
一方、立民、国民、社民に加え、県議会会派の県民連合、連合福島による「5者協議会」が擁立した小野寺氏。共産も支援を表明したことから事実上の野党統一候補となり、フリーアナウンサーとして県民の声に耳を傾けてきた経験から物価高対策など生活者の目線で現政権に疑問を呈したが、及ばなかった。
今回の参院選は前哨戦も異例だった。星、小野寺両氏に加え、6年前に1議席を激しく争った無所属現職と自民元職が当初、立候補を検討。有力4氏による激戦が予想されただけに、自民にとっては保守分裂回避も勝利の一因といえる。
全国的には物価高や人口減少対策、安全保障政策などが主な争点となった。震災、原発事故からの復興を巡る議論は県民の目にどのように映ったか。震災発生から11年4カ月、これまで本県医療の復興に尽力してきた星氏だからこそ、できることがあるはずだ。
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