【参院選ふくしま・記者座談会】自民、一層の団結 星氏初当選
自民党公認の新人星北斗氏(58)が初当選を飾った参院選福島選挙区。無所属の新人小野寺彰子氏(43)との事実上の一騎打ちとなった選挙戦を担当記者が振り返った。
A 福島選挙区は10万票弱の差がついた。星氏の快勝と言っていいと思う。
B 星氏を擁立した自民と143の支援・友好団体による組織戦の徹底が勝因だが、昨年の衆院選をはじめとするこれまでの国政選挙に比べて、陣営の一体感が一段と増した感じがする。改選議席は6年前に現職閣僚が野党統一候補に敗れた議席だっただけに、陣営全員が「議席奪還」の思いを胸に秘めていた。
C 全国的にはロシアのウクライナ侵攻に伴う外交・安全保障政策や、円安の影響も含めた物価高対策が主な争点となった。小野寺氏も生活者の視点を重視した物価高対策を訴えたが、有権者は変革より、安定を求めたのかもしれない。
A 両陣営の政党間の連携はうまくいったのか。
D 公明は推薦した星氏を東北・北海道を拠点とする比例公認候補の演説会に招くなど、懸念された連携もうまくいったようだ。公明の比例候補には支持を訴える身ぶりを交えた独自のポーズがあり、終盤には、星氏の名前にちなんだ振りも加えた形に発展していた。
E 昨年の衆院選では県内全小選挙区で野党共闘が実現し、野党が3勝2敗と勝ち越したが、今回は共産が支援にとどまり、共闘が弱まったと感じる。
C 中央でのいざこざが要因なだけに、立民県連幹部も「福島を見習ってほしい」と嘆いていた。
A どちらも新人で、知名度不足が懸念材料の一つだった。
B 星氏は県医師会副会長を務めただけに、県内医療界への知名度はあったが、医療界の外への広がりが課題だった。昨年12月の出馬表明から県内を6巡。文字通り、足で浸透を図ったのではないか。
C 小野寺氏はフリーアナウンサーとしてラジオなどで活躍していた。支持政党とは関係なく「リスナーだから」と言って投票した人もいたようだが、自民との差は前回2019年とほとんど変わらなかった。
A 最終盤には安倍晋三元首相が銃撃される異例の事態が起きた。
B 星陣営は発生以降、街頭演説を自粛、発生当日に予定されていた岸田首相の来県も中止となったが、事件が一層の団結につながった。当選が決まっても万歳三唱はなく、支持者らが黙とうをささげて哀悼の意を示した。星氏だけでなく、集まった全員が安倍氏の復興への思いを引き継ぐことを決意したと思う。
C 小野寺陣営は序盤はリードを許したが、中盤以降、徐々に追い上げムードが強まっていた。それだけに「流れが変わった」とみる陣営幹部もいる。無党派層の投票動向をみると、本社が中盤に行った世論調査では小野寺氏が大きくリードしていたが、出口調査ではその差が縮まっていた。
A 衆院小選挙区別では1、2、3、5区は星氏、4区は小野寺氏が勝った。次の衆院選では定数が1減で区割りが変わる見込みだが、特に全選挙区に現職がいる自民は候補者調整の課題を抱えることになる。しばらく国政選挙のない「黄金の3年」を迎えるだけに、その間の動きが気になる。比例代表に立候補した県内在住の4人はどうだった。
E 3人は落選したが、共産現職が議席を死守した。非改選も含めた福島選挙区の2議席は自民が独占しただけに、野党にとっては貴重な議席だろう。
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