【データで見る福島県内参院選】自民公認・星氏、51市町村で勝利

 

 新人5人が立候補した参院選福島選挙区(改選数1)は、自民党公認の元県医師会副会長星北斗氏(58)=公明党推薦=と無所属のフリーアナウンサー小野寺彰子氏(43)=立憲民主党、国民民主党、社民党推薦=が事実上の一騎打ちを繰り広げ、星氏が10万票弱の差をつけて初当選を果たした。本県在住4人が立候補した比例代表も含め、各党が舌戦を展開した参院選をデータで振り返る。

 星氏が小野寺氏を9万9550票上回る

 【選挙区得票分析】福島選挙区で舌戦を繰り広げた星氏と小野寺氏の得票を市町村別で見ると、星氏が51市町村で小野寺氏に勝利。星氏が小野寺氏を9万9550票上回る41万9701票を獲得した。

 星氏は地元の郡山市で2万9313票上回る7万7000票、大票田のいわき市でも2万1542票差の6万4194票を獲得。福島市でも5万7860票を得て、9108票差をつけた。浜通り、中通りは全ての市町村で小野寺氏を上回り広域な浸透で勝利につなげた。

 小野寺氏は、出身地の喜多方市や会津若松市に加え、北塩原、西会津、磐梯、猪苗代、会津坂下、湯川の6町村で星氏に勝利するなど、会津地方で健闘した。喜多方市では5122票上回る1万3143票、会津若松市では1002票差の2万3255票を得た。

 13市の合計では、星氏が32万4251票で、小野寺氏は24万7573票。46町村では星氏が9万5450票、小野寺氏が7万2578票だった。

 衆院小選挙区別では、星氏が1、2、3、5区で勝利。小野寺氏は4区で星氏を上回った。昨年の衆院選で自民の勝利は2、5区の2選挙区にとどまっており、小選挙区で敗れた1、3区での奮闘が、10万票弱の差を生み出したとも言えそうだ。

 幅広い世代から支持

 【出口調査】共同通信社の出口調査から福島選挙区の投票行動を男女別で見ると、男性は星氏49.5%、小野寺氏41.1%と8.4ポイント差にとどまった一方、女性は星氏56.1%、小野寺氏34.4%と21.7ポイントもの差が開いた。女性からの支持が星氏の勝利の一因になったといえる。

 年代別では、星氏が幅広い世代から支持を得た一方、小野寺氏が星氏を上回ったのは40代のみだった。ほかの年代では、星氏が小野寺氏に10ポイント以上の差をつけた。

 無党派、小野寺氏が上回る

 支持党派別から投票行動をみると、星氏は自民支持層の8割弱、推薦を受けた公明支持層の7割強の支持を固めており、組織戦の成果を示した。維新支持層の3割強の支持を得たほか、小野寺氏を推した国民、共産、社民の各支持層にも食い込み、他候補を突き放した。

 小野寺氏は推薦を受けた立民支持層の9割弱、社民支持層の7割強を固めたが、国民支持層からの支持は6割強にとどまった。一方、支援に回った共産の約7割、れいわ、維新からも5割を上回る支持を得るなど野党支持層からは一定の支持を得たとも言える。

 無党派層からの支持は星氏が3割強、小野寺氏は5割強で、小野寺氏が上回る結果となった。

無党派、小野寺氏が上回る

 選挙区、過去3番目の低さ

 【投票率】福島選挙区の投票率は53.40%(男性53.59%、女性53.22%)で、前回2019年の52.41%を0.99ポイント上回ったものの、1995年の第17回(51.74%)、前回に次いで過去3番目に低かった。

 市町村別でみると、檜枝岐村が83.22%で最も高く、三島町(80.63%)、只見町(80.22%)の3町村が80%を超えた。最も低かったのは、全町避難が続く双葉町の43.29%で、双葉町を含む7市町村が50%を下回った。

 投票率は過去最低だった第17回以降、第18回(98年)が65.23%、第19回(01年)が60.88%、第20回(04年)が60.34%、第21回(07年)が61.57%、第22回(10年)が61.63%と5回連続で60%を超えたが、54.52%にとどまった第23回(13年)以降は50%台にとどまっている。

 比例代表の県内投票率は53.39%(男性53.58%、女性53.22%)で、前回に比べて0.98ポイント上昇した。

投票率

 自民42.2%、立民13.9%

 【党派別得票率】県内での比例代表の党派別得票率は自民が42.2%と最多となり、立憲民主13.9%、公明10.3%、日本維新の会7.9%、共産6.5%、国民民主5.2%、社民4.5%、れいわ新選組4%、参政党2.4%、NHK党2.2%と続いた。

党派別得票率

 岩渕氏が6828票獲得

 【候補者名投票】比例代表には本県関係で、自民、日本維新の会、共産の現職、元職、新人の計4人が立候補し、共産現職の1人が当選した。参院選の比例代表は、党派名と候補者名のどちらでも投票でき、候補者名の票数で名簿順が決まる「非拘束名簿式」が採用されている。本県関係の候補者も有権者に向けて氏名での投票を精力的に訴えた。

 当選した共産現職の岩渕友氏は県内で6828票を獲得した。政党名と個人名を合わせた政党得票総数のうち、個人名での投票総数(8838票)の77%を占めた。

 自民元職の岩城光英氏は、4人の中で最多の4万8709票だった。政党得票総数のうち個人名での投票総数(10万5556票)の46.1%を獲得したが、党内順位で及ばなかった。維新元職の山口和之氏は5034票、共産新人の丸本由美子氏は494票だった。

候補者名投票