被災地に寄り添う活動を、南相馬でウルトラ警察隊・菊池巡査部長

 
南相馬署に配属となった菊池さん。「住民に寄り添った活動をしたい」と意気込む

 埼玉県警の菊池武則巡査部長(35)が今春から、全国の警察から派遣される特別出向警察官(愛称・ウルトラ警察隊)として南相馬署で活動している。東日本大震災後に本県などで支援活動に当たったことがきっかけで出向を希望。菊池さんは「被災地を狙う犯罪を徹底的に取り締まりたい」と意気込む。

 13年には双葉郡で警戒活動

 菊池さんは被災地支援の一環で2013年、双葉郡で警戒活動に当たった。住民避難による人けのなさや明かりがともらない夜間の街並みなど、東京電力福島第1原発事故の爪痕を目の当たりにした。「活動期間は2週間ほどだったが、今でも当時の光景を思い出す」と振り返る。

 震災当時の津波の状況などはテレビで知った。震災前にも本県を訪れていたことがあったため、変わり果てた本県の姿に心を痛めた。「(元の生活に戻るまで)あと何十年かかるのだろうか」。そんな言葉が自然と出てきた。そして、毎日流れる震災関連のニュースを見るたび、復興の力になりたいと思うようになり、本県出向へ手を挙げた。

 菊池さんにとって本県での活動は約9年ぶり。「当時に比べ復興が進んだ」と感じたという。一方で、管内をパトロールした際に目撃したのは、隆起した道路やブルーシートがかかった家屋など3月に発生した地震による被災だった。「災害が多発しており、また大きな地震が来てもおかしくない。被災した住民に寄り添った活動をしたい」と強調。被災者を狙った詐欺や空き巣などに目を光らせ、広報活動にも積極的に参加する考え。

 出向元の後輩に震災の記憶伝承

 一番の目標は、本県での経験や現状を出向元に伝えることだ。「震災から10年以上が経過し、風化が進んでいる。自分だけでなく出向者全員が出向元に帰った時、震災を経験していない後輩たちに震災の記憶を伝承していくことが必要だ。そのためにも福島での支援活動を充実させたい」と菊池さんは力を込めた。