小説の魅力は「人生追体験」 澤田瞳子さん、桜の聖母高文化講演

 
講演に耳を傾ける生徒(右下はDVDを通して小説の魅力を伝える澤田さん)

 福島民友新聞社と一ツ橋文芸教育振興会は30日、福島市の桜の聖母高で「高校生のための文化講演会」を開き、直木賞作家の澤田瞳子(とうこ)さん(44)が事前収録したDVDを通じて生徒に小説の魅力を伝えた。

 澤田さんは仏教の十悪の一つ「妄語(もうご)(うそをつくこと)」に触れ、「小説は非現実の作り話でもあり、昔から『うそを書くから駄目なもの』として一部で不要論もあった」と指摘した。

 その一方で、登場人物の人生を追体験できるものであることを紹介し、「皆さんが歩める生涯は一つだけだが、小説は自分以外の人生に触れることができる。さまざまな職業を知ることで、将来の選択肢が広がる」と語り、「自分に合った小説に出合ってほしい」と願った。

 澤田さんは昨年夏に「星落ちて、なお」で直木賞を受賞。2011(平成23)年には、白河市大信出身の芥川賞作家中山義秀を顕彰し優れた歴史・時代小説をたたえる「中山義秀文学賞」をデビュー作で最年少受賞しており、講演冒頭では「白河市の方から励ましを受け、これまで仕事を続けてきた。福島県は第二の故郷だと思っている」と明かした。

 同校の1年生108人が講演に耳を傾け、芳賀美羽さん(15)は「普段はあまり本を読まないが、これからは小説を通じて自分の世界観や選択肢を広げられるようにしたい」と話した。

 また、振興会は同校に集英社文庫100冊と澤田さんの著書を寄贈した。