漁師町・新地の復興...アニメに、町民ら声優にも挑戦 3月公開へ

 
福本さん(右)の指導で、声の吹き込みに挑戦する小野さん(左)や村上さん(右から2人目)

 東日本大震災からの復興に向けて奮闘する新地町の漁師らの姿を描いたアニメ「ふながだの海」の制作が進められている。18日には同町で、町民らが声の吹き込みを行った。参加した町内の漁師は「福島の現状をアニメを通じて多くの人に伝えたい」と話している。完成した作品は来年3月11日に町文化交流センター(観海ホール)で上映される予定。

 作品は、東京電力福島第1原発事故を題材にした紙芝居やアニメなどを手がけてきた「まち物語制作委員会」が作る。「ふながだ(船方)」は漁師を意味する地元の言葉。アニメの主人公の漁師の声は、俳優の大地康雄さんが務める。

 物語は、新地町の漁師が震災で被災し、原発事故の風評に苦しみながらも復興を目指すストーリー。来年に予定される処理水の海洋放出を巡る状況も盛り込まれる。作品には、津波に襲われる前の町の姿も描かれ、上映時間は1時間30分程度を予定している。

 18日の声の吹き込み作業には、漁師の小野春雄さん(70)、津波による被害で廃業を余儀なくされた旅館朝日館の元女将(おかみ)、村上美保子さん(73)ら町民10人が参加。委員会の代表で監督を務める福本英伸さん(66)の指導を受けながら、マイクに向かった。

 小野さんは「声優は初めての経験。声の吹き込みをして震災のことを思い出した」と話した。村上さんは「朝日館の女将」という本人役で出演した。「アニメに残すことで、震災を子どもたちに伝えたい」と語った。