「異動辞令は機動隊!」だけど、福島県警刑事が音楽隊ドラマーに

 
譜面を確認しながらドラムの練習に励む上遠野さん=福島市・県警察学校

 県警音楽隊に刑事から転身した一人の隊員がいる。ドラムなどを担当する上遠野裕紀さん(33)。事件捜査の最前線から音楽を通じて県民に寄り添う立場に変わった。当初は戸惑いもあったが「音楽隊の活動の原動力は必要としてくれる県民がいること」との思いを胸に刻む。

 上遠野さんが辞令を受けたのは白河署で刑事として勤務していた2020年3月。大学時代にバンドでドラムをたたいた経験はあったが、吹奏楽はゼロ。「思ってもいなかった」と振り返る。

 入隊後は吹奏楽の用語が分からず、苦労した。バンドと違い、他の楽器と音色を作り出し、楽譜に沿って演奏するなど初めての経験ばかりだった。ただ、音楽隊での活動に「刑事時代とは違った喜びや感動も多い」と話す。

 派遣先の学校で演奏を披露した際、音楽に合わせて子どもたちが踊り始めたことがあった。「聴いてくれる人との一体感を抱くことができた」と上遠野さんは笑顔を見せる。

 演奏会では、多くの人が期待し、興味を持って聴いてくれる。音楽隊の演奏を通じて警察業務に関心を持ってくれる人もいて、活動に大きな意味を見いだした。

 今年、上遠野さんと同じように刑事が音楽隊に異動になる「異動辞令は音楽隊!」という映画も公開された。現在は機動隊に所属しながら週2回練習し、高齢者施設や学校での演奏で交通事故防止や防犯を呼びかけている上遠野さん。音楽を通じて県民と警察をつなぐため、演奏を続けていくつもりだ。