新事業に活路 福島のタカラ印刷、連絡網アプリや型抜き収納販売

 
医療機関向け連絡網アプリや型抜き収納の販売に意欲を見せる林社長

 タカラ印刷(福島市)は印刷以外の事業に挑戦し、新たな収益の確保や経営の多角化を進めている。ここ1年で医療機関向け連絡網アプリ「結ネット for Hospital」と、文具や工具などを整理整頓できる型抜き収納「タカラピタット」を商品化した。今年は受注拡大を図る。

 「結ネット」は金沢市のソフトウエア開発会社が手がけたアプリで、町内会の電子回覧板に使用されている。タカラ印刷はこの会社に提案し、医療機関向けの仕様を共同開発した。介護施設での利用も見込む。

 指示伝達や掲示板などの機能をアプリに搭載している。情報の誤認や交錯によるミスを防ぐため、指示は原則として責任者がスタッフらに1対1で伝達する形式とした。「災害モード」も設け、二本松市の枡記念病院で試験的に導入したところ、2021年2月の本県沖を震源とする地震では150人以上の安否確認が6分で完了したという。

 「タカラピタット」は業務効率化につながる商品として製造業などの事業者向けに開発した。文具や工具の大きさと配置をスキャンし、専用の機械でウレタンを切り出して製造する。

 文具や工具が散らかっていると、使う際に探す時間がかかる。このため、同社は14年ごろから社内で整理整頓を徹底。その一環で発泡スチロール製の型抜き収納を使っていたことから、これを強度の高いウレタン製にして商品化した。

 印刷業はペーパーレス化が進み、経営環境が厳しくなっている。同社が長年得意としてきた添付文書(医療機器などの説明書)も法改正で電子化され、今夏に廃止される。林善克社長(37)は「印刷以外の事業でも受注を広げ、その分を穴埋めしなければならない。試行錯誤を重ね、活路を見いだしたい」と前を見据える。

「モニター」受け付け

 「結ネット for Hospital」はアプリの初期設定費用が33万円、月額料金が利用者100人で計3万6300円。「タカラピタット」は収納する文具や工具が5~10点の場合、シート10枚で計2万7450円。数量が増えるほど安くなる。先着で半額になる「モニター」も受け付けている。問い合わせはタカラ印刷(電話024・526・4303)へ。