故郷の歌披露 ウクライナ留学生、日本で20歳に...家族の安全願う

ステージで仲間の留学生と一緒に歌うポーリエさん(右)
ロシアによる軍事侵攻を受けて、留学生として東日本国際大(いわき市)で学ぶウクライナのディミトロ・ポーリエさんは26日、20歳の誕生日を日本で迎えた。ロシアの侵攻から1年が過ぎたが、生まれ故郷の首都キーウ(キエフ)はいまだ、戦いのさなかにある。「家族は明日どうなるかも分からない。今日の気持ちをなかなか表現することは難しいが、幸せだとは言えない」と複雑な表情を見せ、家族の安全を願った。
ポーリエさんはこの日、相馬市で行われた国際交流イベント「わくわくワールドフェスタ」に、ウクライナ留学生5人と参加。中国、韓国、米国などの郷土料理やグッズが並ぶにぎやかな会場で過ごし、地元の子どもたちのダンスステージなどに見入った。自らも仲間と一緒にステージに上り、故郷の歌を手拍子を交えて笑顔で披露した。
母国では家族7人で暮らし、キーウ国立経済大に在籍していた。昨秋に来日してからは大学のサポートを受けながら寮生活を送り、日本語の習得などにも励む。「日本は安全。別世界にいる気持ちだ」という。
異国での暮らしに少しずつ慣れてきたが、古里に残る家族への心配は募る。質問を投げかけると、言葉を選び、慎重に答えるポーリエさんだが、誕生日の望みを尋ねると声に力がこもった。「ウクライナの勝利。家族と友人の安全な生活。それだけだ」